updated: 2024
ワークショップの企画手順、ポイント・注意点、事例を紹介
ワークショップとは、参加者が自ら参加・体験して学びを深めるスタイルの講座やグループ学習の場です。コミュニティ形成に効果的で、地域イベントや企業研修などさまざまな場面で用いられています。
本記事では、ワークショップの企画手順、ポイント・注意点、イベントの開催事例を紹介します。地域イベントとしての開催事例もご紹介するので、イベント企画にぜひ参考にしてください。
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ワークショップとは?その狙いと活用場面
ワークショップとは、参加者がワーク形式で体験を通じて主体的に学ぶことができる学習方法です。講義形式のように一方通行の知識伝達ではなく、自ら参加し、また参加者同士で学び合う双方向の形を特徴とします。
ワークショップの優れた点は、さまざまなテーマで開催ができるところです。工芸や小物づくりなどのものづくり系や、ヨガやウォーキングなどの運動系、ビジネス系で考えれば「キャッチコピーづくり」から、「防災マップづくり」など地域理解につながる内容まで、幅広いテーマ設定が可能です。目的に合わせて学び合う場を設けやすいので、行政と住民の対話が求められる地域イベントから企業研修まで、多様な場面で用いられています。
地域イベントでワークショップを実施するメリット
さまざまな目的に用いられるワークショップですが、地域イベントとして実施するメリットとは何なのでしょうか。
ワークショップでは、双方向的な性質上、参加者同士のコミュニケーションが活発になります。話し合い、時には教え合いながら何かをつくり上げる・達成するプロセスを通じて、「コミュニティ形成のための合意形成と他者理解の練習」につながるとされています。
地域イベントの目的である「地域活性化」や「住民に対する地域への愛着形成」を実現するには、年齢や属性もさまざまな人が暮らす“地域というコミュニティ”への理解が重要です。主催者はイベント参加者の意見を知ることができ、参加者は体験を通じてテーマを自分ごと化し理解を深められるワークショップは、地域イベントとの相性が非常によいといえます。
ワークショップの企画手順
地域イベントとしてワークショップを企画する場合、以下のような手順で進めていきましょう。
- ゴールを決める
- 想定される参加者の人物像・属性について考える
- 参加人数を想定し、ワークショップの内容を考える
- 開催方法を検討する
- 会場、道具を確保する
- プログラムを詰める
ゴールを決める
はじめに、ワークショップのゴールを決めましょう。ワークショップを通じて参加者に何を得てもらいたい、その後どのような行動をしてもらいたいかはワークショップの企画づくりの軸となり、ここをまず明確にしておくことで開催の目的や意図を一貫したものにできます。
地域イベントであれば「若年層を巻き込んだ地域活性化」や「生まれた街に住み、働き続けもらうための愛着形成」、「他県からの観光創出」などが考えられます。
想定される参加者の人物像・属性について考える
次に、ワークショップの参加者について想定しておきましょう。ワークショップのゴールに到達するために、どのような人に参加してもらいたいか、年齢や性別、職業などの属性を考えましょう。
参加者の顔を具体的にイメージしておくことは、ワークショップの目標達成につながると同時に、参加者が何に悩み、何を学びたいかのニーズを掴みやすくもなります。ニーズを満たすものにすれば、参加者の満足度も上がり、ワークショップの評価を高めることができます。
また参加者の属性を想定しておくことで、集まりやすい開催時間や場所の選定にもつながります。
参加人数を想定し、ワークショップの内容を考える
参加者の属性を想定すると同時に、参加人数についても検討しておきましょう。体験を通じて交流を生み出すワークショップのメリットを最大化するためには、適切な人数の配分は重要です。
例えばグループに分かれるとして、1グループあたりの人数が多すぎると1人ひとりが発言しにくくなってしまい、交流が十分に行えない可能性があります。かといって少なすぎても交わされる意見に多様性が生まれず、ワークショップの成果を満足に得られません。
内容にもよりますが、参加者全員とまんべんなく関わりながら意見を聞き合うのには5〜6人が適しているといわれています。全体の参加人数を想定したうえで、5〜6人単位で実施できるような内容を検討しましょう。
開催方法を検討する
ワークショップの開催方法は、2つのフェーズで検討する必要があります。
- 屋外か屋内か
- 準備運営は自分たちで行うのか、企画会社に依頼するのか
地域イベントの場合、街歩きなどと組み合わせることで効果的になるアイデアも多く、屋外が有力な選択肢となる可能性があります。ただし屋外の場合、天候に左右されるリスクを念頭に置く必要があります。季節や時間、年齢層なども考慮したうえで、検討を進めましょう。
運営を自分たちで行うのか、アウトソーシングするのかも大きなポイントです。
ワークショップを自分たちで運営するメリットは、企画を柔軟にできる点です。しかし運営に慣れていない場合は、そもそも思い描いたものを実現するノウハウが不足している可能性があります。また通常業務との兼ね合いからリソースを創出することが難しければ、中途半端な企画となって満足いくものにできないでしょう。
そのような懸念がある場合は、企画会社にワークショップ運営を依頼するのも一案です。運営実績を多く持つ会社であれば、希望の形を実現するノウハウを有している可能性が高く、なかには細やかなオーダーメイドにも対応してくれるところもあります。
会場を確保し、道具を用意する
開催方法に見当をつけたら、具体的な会場を押さえましょう。参加想定人数にも左右されますが、一般的には広めの空間を確保しておくことが理想です。また、会場を決める際には、現地の下見を行うことが重要です。なお体験型学習では参加者が動くことが多いため、机や椅子は可動式であれば融通がきき、使い勝手がよいでしょう。
ワークショップを実施するのに必要な道具も考えておく必要があります。発注に時間がかかるものや、手に入りやすいものでも大量に必要な場合、開催日までに確実に用意できるよう段取りを整える必要があるためです。
以下で多くのワークショップで必要となるもの、あると重宝するものを例示するので参考にしてください。
- ホワイトボード
- タイマー、ストップウォッチ
- マーカー
- 付箋
- 紙、模造紙
プログラムを詰める
最後に、ワークショップのプログラムを詰めていきます。当日のタイムスケジュールや流れが具体的に決まったら、リハーサルを実施しておけるとより当日を安心して迎えられるでしょう。
内容によってはパンフレットなどの印刷物が必要になると考えられます。広報に必要であれば、どのタイミングで完成していなくてはならないかなど、スケジュールを考慮してスタッフに周知し、準備を進めていきます。
ワークショップ企画・運営のポイント
ワークショップを意義あるものにするには、以下のポイントを押さえて進めていくことが大切です。
- 広報活動に取り組む
- 運営に十分な人数のスタッフを確保する
- 振り返りを行う
広報活動に取り組む
多様なコミュニケーションを生むためには、参加者を集めることが必要です。そのために広報は開催日まで余裕を持って、十分に行えるようにスケジューリングしましょう。
広報手段にはオンラインからオフラインまで選択肢はたくさんありますが、ターゲットとしている層に届きやすい方法で行うことが大切です。例えば主なターゲットが高齢者層の場合、SNSやWeb広告では目に留めてもらいにくいかもしれません。チラシのポスティングや回覧板など、紙媒体を駆使することで、オンラインツールと距離がある方にも情報を届けることができるでしょう。
広報で活用できるツールは以下のようなものが考えられます。
<オンライン>
- ワークショップ公式サイト、もしくは自社・自団体のサイト
- SNS(Instagram、Facebook、X)
- Web広告
- ローカルメディア(自地域の情報に特化したオンライン上のメディア)
- プレスリリース
<オフライン>
- チラシ(掲示、ポスティング)
- 新聞
- 回覧板
運営に十分な人数のスタッフを確保する
スタッフの確保も運営において大きなポイントの1つです。ワークショップ内容により異なりますが、多くの場合以下の役割が求められます。
- 全体の進行を受け持つコーディネーター
- グループごとの進行をサポートするファシリテーター
- 当日の写真撮影などの記録係
挙げたもののほか、当日の受付や誘導、前日までの準備や開催後の撤退も含めてスタッフを確保しましょう。当日の不測の事態にも対応できるよう、人員は余裕を持てると理想的です。
振り返りを行う
ワークショップにおいては、振り返りを実施したいタイミングが2回あります。学習後参加者に対してと、ワークショップ後運営内においてです。
学習終了後、参加者に振り返りの時間を持ってもらうと、体験が整理されて日常にその内容を生かせます。参加者は「楽しかった」だけで終わらず、成果を持ち帰れることでワークショップに対する満足感も高まるでしょう。
また運営内でも事後の振り返りは必要不可欠です。当日は参加者にアンケートを実施し、ワークショップのよかった点や改善点などの意見を集められれば、客観的な意見をもとに建設的な振り返りができます。
得られたフィードバックは、運営の中心メンバー内に留めず、関わった全員に共有するのが理想です。特にボランティアを募った場合、フィードバックが届くことが手応えにつながり、次回開催でも協力を仰げる関係性を築けます。
開催の締めくくりとして、広報で使用した媒体を通じて開催後レポートをリリースするのもおすすめです。当日の様子を知らせることで、目にした人々を次回開催の集客につなげられる可能性があります。
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ワークショップを企画する際の注意点
ワークショップを企画する際に注意したいことも、あらかじめ確認しておきましょう。
安心して参加できる雰囲気をつくる
ワークショップの肝は参加者同士の交流と多様な意見交換です。そのためには参加者が「自分を出してもいい」と思って安心できる雰囲気をつくることが大切です。そんな環境づくりの一環として「相手の意見、創作を否定しない」など、ワークショップを進めるうえでのルールを決めておくとよいでしょう。
街歩きなど地域資源を生かす形でワークショップを開催する場合は、その地域全体で取り組んでいるという一体感を醸成できると、参加者も安心して参加しやすくなります。運営スタッフはもちろん、地域住民も参加者にウェルカムな雰囲気を出せるように、取り組みの理解促進をすることが不可欠です。
適度なハードルを設定する
楽しく充実した時間はワークショップの成果を高めるのに必要ですが、場が単に「楽しかった」だけで終わってしまうと、ワークショップのその後の行動につながりません。参加者の心理的な安全の前提に立ったうえで、適度なハードル設定ができると、参加者が意欲的にワークショップに取り組めるようになるでしょう。
参加者同士が力を合わせて乗り越える課題や仕組みをつくることで、参加者同士が互いの理解を深められ、チームビルディングの効果も期待できます。
考えて取り組むプロセスを大切にする
ワークショップでは、講義形式とは違い1つの正解を求めるのではなく、参加者が考えて取り組むプロセスを重要視します。テーマによってはすぐに答えが出ず、目に見える結果が得られないものも多くあるでしょう。
参加した人それぞれが感じた手応えが、ワークショップで得られる成果です。参加者同士が交換した意見や生まれたつながりを捉え、参加者から寄せられたフィードバックを生かして企画し場を設け続けていくことが大切です。
全員が参加できる工夫をする
ワークショップでは、全員がまんべんなく参加できるように工夫しましょう。多くの意見が交換されるのが理想なので、聞いているだけの人がいたり、ずっと1人が話し続けていたりするような状況はできるだけ避けます。
グループごとにファシリテーターを置けば、進行役として参加者の様子を見ながら話す機会やチャレンジの場を回せます。また参加者に役割を割り振ることも有効です。司会役、記録係、タイムキーパーなどそれぞれが担当を持つことで、自然な流れでワークショップに主体的に関わることができます。
地域イベントにおすすめのワークショップの事例
ワークショップを企画するにあたり、実際に開催された事例を参考にすると具体的なイメージが湧きやすくなります。
ここでは地域イベントとして株式会社IKUSAが開催したワークショップの事例を紹介します。
【東京都練馬区】戦国ワークショップ
東京都練馬区で開催されている「照姫まつり」内のイベントの1つとして、株式会社IKUSAは「戦国ワークショップ」を実施しました。石神井城にまつわる史実と実在した姫君をテーマにしたお祭りで、地域の歴史に親しみふるさと意識の高揚や地域活性化を目的としています。
当日は流鏑馬射的や万華鏡づくりなど、老若男女が楽しめるブースを用意しました。途中で悪天候に見舞われるも、開場と同時にワークショップ会場は大いににぎわいました。
歴史の教科書に名を連ねるような有名人ではなくとも、お祭りに名を冠している「照姫」はこの地域にとってゆかりのある人物です。そんなエピソードにスポットライトを当てることで、その地域をより身近に感じられるコンテンツをつくり上げられます。
<戦国ワークショップの特徴>
- 10種類以上のワークショップ内容から、地域にマッチするものを選べる
- 幅広い年代が楽しめる
- ご当地武将や地域の歴史などオリジナリティを盛り込める
▼事例について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
【兵庫県神戸市】防災ヒーロー入団試験
兵庫県の大型商業施設でのイベントとして実施されたのが、株式会社IKUSAが提供する防災系アクティビティ「防災ヒーロー入団試験」。親子をターゲットとした、体と頭を動かしながら防災について学べるサービスです。
謎解きを進めると館内のAEDの場所が把握できる仕掛けとなっていたこちらのワークショップ。防災を学びながら地域活性化にもつなげたいという目的を持って実施され、当日は多くのファミリー層が参加しました。
<防災ヒーロー入団試験の特徴>
- 防災に関心がない子どもでも楽しめる内容
- 参加者や地域に合わせて、内容をカスタマイズできる
- 謎解きを通じて家族、地域の交流を生む
▼事例について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
【愛媛県松山市】戦国宝探し
愛媛県松山市にある松山城では、1〜3月の閑散期にも人を呼び込むため、株式会社IKUSAの提供する「戦国宝探し」をはじめとした歴史系アクティビティを開催しました。
松山城の歴史や文化に関わるストーリーで宝探しを進める内容で、観光客から地元住民まで、松山に関心を持ってもらうきっかけとなりました。戦国宝探しでは地域の歴史や文化を宝の地図に反映でき、宝の配置を工夫することによって、歩いてほしい場所に参加者を誘導できます。
松山市のワークショップでは、歴史と宝探しを組み合わせることで、子どもから大人まであらゆる層に刺さる内容になりました。
<戦国宝探しの特徴>
- 地域ならではのストーリーが組めるため、地域イベントに強い
- 周遊型のため地域を深く知れ、リピーターやファンを生み出しやすい
▼事例について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
【開催事例】「戦国宝探し」戦国宝探しin松山城~松山城に眠る宝を探せ~
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子ども・親子向けワークショップ21選!簡単・楽しいイベントの事例も紹介
まとめ
ワークショップは、参加者が体験を通じて学びを深めることのできる場です。地域イベントや企業研修などさまざまな場面で活用されています。
ワークショップを企画する際には、まずゴールを決めたうえで内容を検討していきましょう。多様なコミュニケーションの創出には十分な参加者を集めることが必須です。そのためにはワークショップの広報についてもしっかり考慮したうえでスケジューリングすることを意識します。
参加者の個性を発揮してもらうには、安心して参加できる環境づくりやプログラムの工夫が必要です。これまでの事例を参考にしつつ、自地域のよさを生かせるワークショップを検討してみましょう。
IKUSAでは、年間1000件以上のユニークなイベントや研修を支援しています。90種類以上のイベント・研修サービスからお客様のニーズに合わせてご提案させていただき、ご要望に応じたカスタマイズも可能です。サービスの詳細や具体的な事例は下記の資料でご確認ください。
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