updated: 2024
ワークショップとは?目的や種類、効果的な進め方のコツをわかりやすく解説
参加型の主体的な学びの場として、根強い人気のワークショップ。近年では、教育やビジネス、芸術、スポーツなど、幅広い分野で、ワークショップを開催する企業や自治体が増えてきました。しかし実際に、ワークショップを開催するとなると「どんな内容にしたらいい?」「セミナーとの違いは?」など、さまざまな疑問が浮かぶのではないでしょうか。
本記事では、ワークショップの定義や、開催するメリット、成功させるポイントを解説します。
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ワークショップとは?
ワークショップとは、参加者の主体性を重視した体験型の学習講座です。本来は「作業場」「仕事場」を意味する言葉ですが、そこから転じて現在では、参加者が共同で研究や創作を行うグループ学習や研究集会などを指すようになりました。学校のオリエンテーションや地域おこしのイベント、企業の研修や集客イベントなどに用いられています。
ワークショップでは多くの場合、ファシリテーターと呼ばれる進行役のサポートのもと、与えられたテーマや課題についてグループ内で意見交換や共同作業を行います。ファシリテーターはあくまでも黒子役であり、ワークショップの主役は参加者です。1人ひとりが主体的・能動的に学習に取り組む姿勢が求められます。
セミナーとの違いは?
セミナーもワークショップと同じく、あるテーマについて興味を持っている人を広く募って開催される勉強会です。しかし、ワークショップが体験型の学習スタイルであるのに対し、セミナーは基本的に専門家や有識者が一方的に教える形式となります。そのため、講演の途中で参加者が飽きてしまうことも少なくありません。
ワークショップ形式の学習が浸透してきたことに伴い、1部は講師による講義、2部は実習形式のワークショップといった、2部構成で実施するセミナーも増えてきました。
ワークショップの種類
ワークショップは多彩なシーンで活用されており、以下のような種類があります。
1.ものづくりワークショップ
老若男女問わず参加しやすいのが、ものづくりを体験できるワークショップです。伝統工芸やガラス細工、陶芸、レザークラフト、手芸、アクセサリーづくりなど、さまざまな種類があります。創造力・表現力が刺激され、世界に1つだけの作品を作れるのが魅力です。商業施設のイベントや地域のお祭り、街中のカルチャースクール、個人が運営する教室などでも実施されています。
2.アート・ダンス系ワークショップ
ワークショップが世界中に広まったのは、演劇分野のワークショップがきっかけといわれています。新たな演劇の可能性を探るなかで盛り上がりを見せたワークショップは、やがて舞踊やダンス、ヨガなどの身体表現、さらには絵画や彫刻、現代アートといった芸術表現にまで裾野を広げ、体験を通して学びを深める場として一般化しました。自由に楽しく自己表現ができるため、リラクゼーションの手段としても活用されています。
3.社会教育のワークショップ
社会教育においても、体験型学習の重要性が認められています。私たちの身近にある問題は、さまざまな社会構造上の要因が複雑に絡まり合って引き起こされており、その解決には多様な角度やいろいろな立場からの考察が必要です。ワークショップでは、自分と異なる立場の人が参加し、その価値観と触れ合うことになるので、社会教育に適した手法といえるでしょう。全国各地で、自然環境や行政、まちづくりなど社会的な課題をテーマとした、さまざまなワークショップが開催されています。
4.ビジネス分野のワークショップ
ワークショップはビジネス研修の場でも盛んに取り入れられている手法です。例えば、新人研修やマネージャー研修、役員研修など、それぞれのポジションにある人が自分や周囲の人の立場について理解するために、ワークショップを行うケースは多くあります。ワークショップ形式のビジネス研修では、与えられたテーマについて全員が意見を出し合い、それをさらに深掘りしていくため、新しいアイデアが生まれやすいのがメリットです。自社の業務改善にもつなげられます。
5.学術研究分野のワークショップ
社会学、心理学的な学術分野においても、ワークショップは有効です。ワークショップ形式での学習や教育手法が一般化してきたのに伴い、研究者の話を参加者が一方的に聞くというセミナー形式のプログラムのなかに、ワークショップを取り入れる研究会も増えてきています。
ワークショップのメリット・デメリットとは?
ワークショップを取り入れることで、どのようなメリット・デメリットがあるのかを確認してみましょう。
開催者のメリット
ワークショップでは、参加者が主体的に参加するので、与えられたテーマに対して当事者意識が芽生えやすくなります。例えば防災をテーマにしたワークショップを実施した場合、参加者が災害時の状況を「自分ごと」として捉え、備蓄や家具の配置変更などに主体的に取り組みやすくなります。
自らの体験を通して学ぶことにより、座学よりも理解を深められるので、参加者の「わかったつもり」を避けられます。参加者の疑問や不安に対して、タイムリーに対応できるのもポイントです。
商品そのものを使って何かをつくったり実験したりするようなワークショップだと、見聞きするだけの宣伝よりもプロモーションが容易です。
参加者のメリット
ワークショップでは、体験しながら学ぶことによって「話を聞くだけ」「テキストを読むだけ」よりも理解を深められるのがメリットです。知識やスキルを着実に習得できます。
メンバー同士が交流する機会が多いので、自然なコミュニケーションが発生しやすい場といえるでしょう。グループに分かれて協力しながら1つのものをつくったり、意見交換をしたりする場面もあり、コミュニケーション力や協調性が育まれます。
さまざまな立場の人が参加するワークショップは、多様な価値観や考えに触れられるよい機会です。いろいろな人との対話を通して、自分の視野をより広げることができます。
開催者のデメリット
ワークショップは参加者が主体的にテーマに関わるため、達成感や満足感を得られやすいのが特徴です。その反面、ワークショップに参加しただけで満足することもあります。結果として、参加者が十分な学びを得られなかったということもあり得るでしょう。
知らない人同士が集まるワークショップでは、参加者が緊張したり不安を感じたりすることがあります。議論が必要な内容の場合、ファシリテーターによるサポートがあるとスムーズでしょう。
参加者のデメリット
ワークショップでは多くの時間を「体験」に費やします。体験は知識を深めるのに効果的な方法ですが、幅広い知識を習得するのにはあまり向いていません。自分の目的・目標を達成するために、講演会・座学形式がいいのか、ワークショップ形式がいいのかをよく検討したうえで申し込むのが賢明です。
ワークショップの進め方、5つのステップ
ワークショップの進め方を大きく5つのステップに分けて解説します。
1.ワークショップの目的・ゴールを定める
まず重要になるのが、ワークショップ開催の目的とゴールです。前もって「なぜワークショップを開催するのか」「最終的に参加者にどのような状態になってほしいのか」をしっかり定めましょう。目的やゴールが曖昧だと、途中で方針がブレてしまい、主催者、参加者の双方に不満が残る結果となりかねません。
例えば防災のワークショップであれば「すぐに防災の備えのために行動をスタートできる」というように、目的を明確にすることが大事です。
2.ワークショップの内容を決める
目標・ゴールが明確になったら、ワークショップの企画内容を決めていきます。目的が防災であれば、「災害を擬似体験する」「備蓄に有効なものを知る」など参加者に体験してほしい内容にしましょう。テーマが決まったら、どれくらいの時間が必要か、どのような手順を踏めば実行できるかなど、詳細を詰めます。
とはいえ、初めてワークショップを開催するとなると、何をしたらいいのかわからないという方もいるかもしれません。企画のアイデア出しで迷ったときは、プロに頼るのも1つの手です。
3.事前準備を万全に行う
ワークショップを成功させるためには、事前準備を抜かりなく行うことが大切です。
具体的には以下の項目を決める必要があります。改めて確認しましょう。
- ワークショップを実施する会場
- 当日のワークショップの進行役、運営スタッフ
- ワークショップに必要な備品
- ワークショップの日程調整
- ワークショップの告知
4.ワークショップを開催する
準備が終わって、いざワークショップ当日。
綿密に計画を練って、当日のハプニングにも柔軟に対応できるようにしておきましょう。
5.フィードバックと振り返りを行う
ワークショップが終わったら、必ず振り返りの時間を確保します。参加者へのアンケートを実施して「ワークショップの内容に満足できたか」「よかったところや悪かったところはどこか」「ゴールは達成できたか」など率直なフィードバックをもらいましょう。
その後、受け取ったフィードバックをもとに、ワークショップの進行で不十分だったポイントを考えます。参加者から示された反省点や改善点を随時反映させ、レベルアップを図りましょう。
▼関連記事
ワークショップを効率的に進めるポイントをご紹介
ワークショップを成功させるポイント
ワークショップを成功させるためのポイントを紹介します。
アイスブレイクの時間を設ける
参加者が意見を出しやすい雰囲気を作るために、アイスブレイクの時間を設けましょう。アイスブレイクは英語で「氷を溶かす」という意味があり、緊張した雰囲気や意識を和ませることをいいます。
アイスブレイクの手法は、自己紹介や簡単なゲームやクイズが主流です。アイスブレイクを導入することで、参加者同士のコミュニケーションが生まれ、お互いに打ち解けるきっかけとなります。
ゴールを事前に共有する
ワークショップの冒頭や導入で、会の目的やゴールを参加者にしっかり伝えましょう。ワークショップを何にために行うのかわからないと、参加者は不安ばかりが膨らんで、モチベーションが下がってしまいます。ワークショップを成功させるためには、ゴールを明確化してグループ内で共有することが大切です。事前に周知しておくと、目的を意識しながらワークショップに参加できるため、自ずと理解度や満足度が高まります。
ファシリテーターを置く
内容によっては必ずしも必要ではありませんが、会にファシリテーターがいると、効率的かつスムーズな進行を実現しやすくなります。単なる司会役にとどまらず、ワークショップを目的に沿って進行したり、参加者の発言が偏らないように場をコントロールしたりするのも、ファシリテーターの大事な役割です。ワークショップが実りあるものになるかどうかは、ファシリテーターの技量にかかっているといっても過言ではありません。知識と経験が豊富な人が、ファシリテーターとして適任です。
ワークショップの成功事例をご紹介
「ワークショップを実施したいけれど、何をしたらいいかわからない」という方に向けて、株式会社IKUSAがこれまで手がけたワークショップの成功事例を紹介します。
1.SDGsアドベンチャー
SDGsアドベンチャーは、体験を通じてSDGsを学べるワークショップです。SDGsアドベンチャーというテーマのもと、いくつかの島に見立てたワークショップを体験します。全ての島をクリアすると、缶バッジをゲット! 親子で体験しながら学べる、これまでにないワークショップで、楽しみながらSDGsを学べます。
2022年10月に、とある自治体の地域活性化を目的としたイベントでSDGsアドベンチャーを開催したところ、200名様以上の家族が集まりました。当日は、ゴミの分別を学べる「ポイポイ島」や、仲間と協力することの大切さを学べる「つみつみ島」など5つの島(ワークショップ)が出現。SDGsのことをあまり知らない方でも楽しめるように設計されており、会場はたくさんの笑顔があふれて大いに盛り上がりました。
イベントの詳細は以下の記事で詳しく紹介しています。
親子でSDGsを学ぼう!SDGsアドベンチャー開催レポート|IKUSA.JP
2.防災ヒーロー入団試験
防災ヒーロー入団試験は、小さな子どもから大人まで楽しめるファミリー向けの防災アクティビティーです。体と頭を動かしながら楽しく防災を学び、親子で「もしも」を考えられます。
2023年3月11日に品川区で開催された「第38回 品川区防災フェア」にて、防災ヒーロー入団試験がブース出展しました。品川区防災フェアは、全ての人が過去の震災の教訓を忘れず、防災力を高めることを目的に行われた防災イベントです。当日は5000名が集まり、会場内ブースも大盛況でした。
防災ヒーロー入団試験では、「防災スリッパ作り」や「防災リュック間違い探し」など、もしものとき本当に役立つ体験型のコンテンツを、防災ヒーローになるための「試験」として参加者の方に取り組んでもらいます。全種目にクリアして全てのメダルを獲得したら、防災ヒーローに認定! 今回は約600名の防災ヒーローが誕生し、家族みんなの思い出に残るイベントになりました。
イベントの詳細は以下の記事で詳しく紹介しています。
「第38回 品川区防災フェア」にて防災ヒーロー入団試験を実施しました!! |IKUSA.JP
3.戦国ワークショップ
戦国ワークショップは、その名のとおり、戦国時代をテーマにしたワークショップです。さまざまな体験を通して、戦国時代の歴史文化を親子で楽しく学ぶことができます。「甲冑づくり」や「オリジナル侍缶バッジづくり」など、コンテンツの数は全10種類以上あります。バラエティ豊かなラインナップを展開しています。
2022年には、練馬区の2大祭りの1つである「第35回 照姫まつり」にて戦国ワークショップを開催しました。「照姫まつり」は室町時代の石神井城主・豊島泰経と娘の照姫の伝説にちなんだお祭りです。当日は「オリジナル刀工房」「万華鏡ワークショップ」など5つのブースを出展。開場と同時に多くの来場者が訪れて満員御礼! 最後まで大賑わいのイベントとなりました。
イベントの詳細は以下の記事で詳しく紹介しています。
「第35回 照姫まつり」にて「戦国ワークショップ」を開催いたしました!!
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ワークショップでの集客方法!ポイントからおすすめワークショップまでご紹介
まとめ
ワークショップは主体的に参加でき、メンバー同士の意見交換など交流の機会も多いため、参加者の満足度が高いのが特徴です。しかし、内容や進め方によっては、ワークショップの充実度や満足度に格段の違いが出てしまうことも少なくありません。開催前にゴールを設定し、参加者全体で共有することが大切です。
企画に行き詰まったら、プロの力を借りるのも選択肢の1つであることを頭に入れておくとよいでしょう。今回の記事をぜひワークショップ開催に役立ててください。
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