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updated: 2024 

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PDCAとは?メリット・デメリット、サイクルを回すポイント、OODAとの違いを解説

PDCAとは?メリット・デメリット、サイクルを回すポイント、OODAとの違いを解説

生産性向上が経営課題となっているなか、さまざまな施策を計画・実施している担当の方は多いのではないでしょうか。業務改善を目指しているが、なかなか成果が出ない……。そんな時に役立つのが「PDCA」というフレームワークです。

PDCAとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の頭文字を取ったもので、継続的な改善を促す手法の一つです。古くから活用されている一方で、近年ではPDCAに代わる新たな手法も登場しています。

この記事では、PDCAがどのようなフレームワークなのか、メリットやデメリット、PDCAを効果的に回すポイントを解説します。

 

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PDCAとは?

PDCAとは、「計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)」の4つのプロセスを繰り返すことで、継続的に業務改善を図る手法です。1950年代に「品質管理の父」と呼ばれたW・エドワーズ・デミング氏によって提唱されました。

もともとは品質管理を円滑に進めるために取り入れられた考え方ですが、近年では営業やマーケティングなど幅広い分野で活用されるようになりました。日本では1990年代後半頃からビジネスの現場に導入され、今なお多くの企業がPDCAを用いた改善活動に力を入れています。

参照:PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act cycle)|用語解説|野村総合研究所(NRI)

PDCAのプロセス

PDCAには、以下4つのステップがあります。

  1. Plan(計画)
  2. Do(実行)
  3. Check(評価)
  4. Action(改善)

最後のステップ「Action(改善)」までひと通り完了したら、また最初の「Plan(計画)」に戻ります。この一連の循環を「PDCA」といいます。PDCAは「繰り返し行う」ことで効果を発揮するフレームワークです。4つのプロセスを継続的に循環させて、業務の効率化や品質改善を目指します。

それぞれのプロセスについて、以下で詳しく解説します。

1Plan(計画)

PDCAのスタート地点です。業務目標を設定し、その目標を達成するための具体的な行動計画(アクションプラン)を立てます

計画策定にあたっては「WHAT(なにを)・WHEN(いつまでに)・WHO(誰が)・WHERE(どこで)・WHY(なぜ)・HOW(どのようにして)」の5W1Hを意識すると進めやすいでしょう。

目標を設定する際は、できるだけ具体的かつ現実的な目標を設定することが重要です。定量的な数値に落とし込むと分わかりやすく、モチベーションの向上にもつながります。

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2Do(実行)

Do(実行)のプロセスは、Plan(計画)で立てた計画を「計画通り」に実行する段階です。計画的に行動することで「計画そのものが正しかったか」「改善すべき点はあるか」を検証しやすくなります。

Plan(計画)の段階で具体的なアクションプランを設定できていれば、後はそれを実行に移すだけです。もしこのプロセスで問題が生じた場合、次のCheck(評価)で見直していきます。

失敗した時も成功した時もその要因を分析しやすいよう、営業にかけた時間や訪問回数など、さまざまな活動記録を数値化して残しておくことが大切です。

3Check(評価)

Check(評価)のプロセスでは、アクションプランが計画通りに実行されたかどうかを評価・分析します。計画を実行に移した後、成功したか失敗したかに関わらず、必ず検証を行い、得られた結果の要因を探っていくことが重要です。

結果の要因を検証することで、成功パターンの再現が可能となり、ブラッシュアップを図ることができます。たとえ失敗に終わったとしても、なぜうまくいかなかったのかを分析することで、次の改善につながります。

例えば「月10件のアポイントをとる」というアクションプランを立案したにも関わらず、5件程度にとどまった場合、なぜ計画通りに実行できなかったのか、そもそも計画自体が現実的だったかなどを考え直す必要があるでしょう。

4Action(改善)

4つ目のプロセスはAction(改善)です。ここでは、Check(評価)で明らかになった課題や問題点を解決するための改善プランを実行します。Action(改善)は、企業の業務改善や業績向上を図るうえで肝となるプロセスです。Check(評価)での内容を踏まえて、良かった点は維持・継続し、悪かった点はどうやって改善していくかを考えます。

Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)のいずれかのプロセスが曖昧だと、Action(改善)の段階で効果的な改善策を打ち出せない可能性があります。そうなった場合は、これまでのプロセスを見直しましょう。

Action(改善)までひと通り終えたら、1回目のサイクルは完了です。その改善策を踏まえたうえで、再びPlan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)の流れをたどり、徐々にレベルアップを図ります。

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PDCAのメリット

PDCAの手法を取り入れることで、次のようなメリットがあります。

1.目標や課題が明確になる 

PDCAのフレームワークは、最初に必ず目標や課題を設定する仕組みになっています。組織であっても個人であっても、何かを成し遂げるためには明確な目標設定が不可欠です。目標が曖昧なままだと、ゴールへの道筋がはっきりしないため、なかなか実行プロセスに移せなかったり、見当違いの行動をしたりしてしまいます。

PDCAのサイクルを活用することにより、目標や課題がはっきりすれば、何をすべきかが明確になって、ゴール達成に向けたアクションを起こしやすくなるでしょう。

2.やるべきことに集中できる

PDCAでは、Plan(計画)の段階で目標と行動計画を定めるため、アクションを起こす際に迷いが生じることがなくなり、やるべきことに集中できるのがメリットです。

単に目標を設定するだけでは、行動していくうちに「この方向性で間違っていないか」「もっと良い策があるのではないか」と迷いが生じることもあるでしょう。PDCAの原則に従えば、たとえ計画通りに実行できなくても、なぜできなかったのかという課題の洗い出しができる機会を得られ、次の取り組みへとつなげられます。

3.継続的な業務改善が可能となる 

PDCAは、反省点や良かった点を振り返りながら、軌道修正をしていきます。どんな仕事もやりっぱなしになってしまうと、失敗しても成功しても今後につながる学びを得られません。一方、PDCAは、失敗や成功からの学びを次の糧にできるので、成長のチャンスが広がるでしょう。継続的に実施することで、業務効率化や品質・生産性の向上が期待できます。

PDCAのデメリット

業務効率化や品質向上のための手法として多くの企業に取り入れられているPDCAですが、メリットだけでなく、デメリットも存在します。以下でそのデメリットを見ていきましょう。

1.改善に時間がかかる 

PDCAは、計画、実行、評価、改善というプロセスを繰り返して、業務改善を図るフレームワークです。想定外の事態が起きたとしても、その時点ですぐに判断して対処するのではなく、計画、実行、評価のプロセスを経て、改善に取り組みます。そのため、改善を反映するまでにどうしても時間がかかってしまうのが難点です。

また、考案した改善案が本当に有効なのかどうかを検証するために、計画、実行、評価というプロセスを繰り返さなければなりません。仮に改善案が誤っていた場合、新しい施策を試すためにさらに何周分もの時間を費やすことになります。

2.イノベーションを生み出しにくい

過去に実施した施策や行動を評価することで改善案を生み出そうとするのが、PDCAの基本的な考え方です。分析対象は過去の実績であるため、新しいアイデアが生まれにくい傾向にあります。こうしたイノベーションが起こりにくい構造は、PDCAの弱点の一つです。革新的な改善を目指すのであれば、外的な要素にも目を向ける必要があるでしょう。

3PDCA自体が目的化する

PDCAは、現状を客観的に評価・分析し、改善策を生み出すための手段として実行するものです。しかし、運用に慣れていくうちに、いつの間にか「PDCAを回すこと」自体が目的となってしまうケースが少なくありません。

4つのステップが形骸化してしまうと、いくらPDCAを回しても意味のないものになってしまいます。何のためにPDCAを活用するのかを改めて考えて、本来の目的を見失わないよう注意しましょう。

PDCAを効果的に回す4つのポイント

PDCAを効果的に回すポイントを紹介します。

1.目標は数値化する

目標はできるだけ定量的な数値で設定しましょう。目標が抽象的だと、Check(評価)のプロセスで結果の成否について客観的な判断を下しにくいからです。また、PDCAの考え方の根本にある「Aだったから、Bになった」という仮説と検証のロジックも不明確になってしまいます。目標を具体的な数値で設定すると、評価基準が明確になるので、効果的な業務改善につながります

2.習慣化して継続的に行う

PDCAは習慣化して継続的に行ってこそ効果を発揮するものです。サイクルを1度や2度回したからといって、すぐに状況が改善するものではありません。成果を高めるために、継続的にPDCAを回すことを心がけましょう。短いスパンでサクサク回していくと、短期間での検証が可能となり、課題の抽出から改善までをスピーディーに行うことができます。

3.現実的かつ具体的な計画を立てる

PDCAを効果的に回すためには、現実的かつ具体的な計画を立てることが大切です。あまりにも非現実的な計画だと、実現の可能性がぐっと下がり、達成する前にモチベーションが低下してしまいます。現状を把握したうえで、無理のない範囲で目標や計画を設定しましょう。

悪い例月の受注件数を50件増やす
良い例

受注率を上げるために、1日のテレアポ件数を3件増やす

4.定期的に評価・確認を行う

PDCAでは、Check(評価)で定期的な振り返りを行い、Action(改善)で微調整を加えていくことが大切です。実行したことを振り返る機会がなければ、次回以降に活かせません。定期的に評価・確認作業を行うと、適切な改善策を見出すことができます。事業に好循環をもたらすために、毎週曜日を決めてPDCAを振り返る時間を設けましょう。

PDCAはもう古い?注目のフレームワーク「OODAループ」とは

PDCAは、多くの日本企業が取り入れている、業務改善のフレームワークです。その一方で「PDCAはもう古い」「時代遅れ」という声も聞かれます。

近年、PDCAに代わる新しい手法として注目されているのが「OODAループ」です。PDCAとよく似ていますが別の概念なので、基本的な考え方や違いを理解しておきましょう。

参照:PDCAサイクルと OODA ループ(PDF)- 厚生労働省 

OODAループ」とは?

OODA(ウーダ)ループとは、先の読めない状況下で成果を出すための意思決定方法です。「Observe(観察)」「Orient(状況判断)」「Decide(意思決定)」「Act(実行)」の頭文字から構成されています。

OODAループは、もともと戦場での行動プロセスから生まれたメソッドです。アメリカの軍事戦略家であるジョン・ボイド氏がドッグファイト(機動しながらの空中戦)からヒントを得て考案したもので、戦況を優位に進めるための軍事戦略として注目を集め、世界の軍隊に影響を与えました。

効果と汎用性の高さから、後にビジネスや教育、スポーツなどさまざまな場面で応用され、現代では多くの企業で採用されています。

瞬時の判断が求められる軍事の世界では、一瞬の迷いが生死を分けることがあります。変化が激しく、経営判断の遅れやミスが命取りになりかねないのは、現代のビジネスシーンも同様です。時代の波に乗って生き残るためには、迅速な意思決定が欠かせません。だからこそOODAループが注目されているのです。

OODAループの4ステップ

OODAループは、PDCAと同じように4つのステップから成り立っています。

  1. 観察(Observe)
  2. 状況判断(Orient)
  3. 意思決定(Decide)
  4. 実行(Act)

「見る」「分かる」「決める」「動く」の4つのプロセスを繰り返すことで、業務の改善を目指します。

観察(Observe)

観察することによって現状を認識する

状況判断(Orient)

観察結果から、状況判断する

意思決定(Decide)

具体的な方策や手段に関する意思決定を行う

実行(Act)

意思決定したことを実行に移す

実行(Act)した後は、フィードバックするために再びObserve(観察)、もしくは必要に応じて他の段階に戻り、ループを再開します。

OODAループでは、PDCAのように行動を起こす前の「目標設定」や実行した後の「評価」を行いません。そのため、刻一刻と変化する市場や顧客ニーズに対して迅速かつ柔軟に対応できるのが特徴です。

PDCAOODAループの違い

PDCAOODAループ
目的継続的に業務や品質の改善を行うためのフレームワーク意思決定と行動を迅速に見出すためのフレームワーク
メリット

目標や課題が明確になる

やるべきことに集中できる

継続的な業務改善が可能となる

環境変化に臨機応変に対応できる

問題をスピーディーに解決できる

主体的に考えることができる
デメリット

改善に時間がかかる

イノベーションを生み出しにくい

失敗する確率が高くなる

定型業務の改善には不向き
利用に適した場面

中期的な視点で経営を改善したい場面

スピード感のある意思決定が必要な場面

PDCAは、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)の一方向のサイクルで、原則として逆戻りすることはありません。一方、OODAループは一定方向に実践する必要はなく、状況に応じて1つ前のステップに戻ったり、途中からリスタートしたりすることも可能です。

OODAループは、PDCAに比べて自由度が高く、環境変化に柔軟に対応できます。その反面、各ステップに時間をかけないため、失敗するリスクが大きいのがデメリットです。スピーディーな意思決定が必要な場面では有効ですが、中期的な改善には向いていません。

OODAループとPDCAはよく比較されますが、両者に優劣があるわけでなく、そもそも役割や得られる効果が異なるフレームワークです。それぞれの特徴を理解し、目的に応じて使い分けましょう。

【関連記事】

OODAループ(ウーダループ)とは|PDCAとの違いや事例を学び個人・組織の生産性を高める

まとめ

PDCAは生産管理や品質管理など、継続的な業務改善に適したフレームワークとして広く知られており、日本国内でも多くの企業が取り入れています。

しかしながら、サイクルを回すこと自体が目的化すると、形だけのPDCAになりかねません。成果を出すためには、ポイントを押さえた運用が重要です

近年ではPDCAに代わるフレームワークも登場しており、OODAループなどの手法によって改善を図ったほうが好ましいケースもあります。状況や目的に応じて、どのフレームワークを選択すべきかを判断しましょう。

 

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この記事を書いた人

正木友実子
福岡在住。大学を卒業後、大手食品メーカー勤務を経て、異業種のライターへ転身。求められている情報をわかりやすく伝えることがモットー
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