updated: 2024
大雨への備え方とは?対策グッズや避難の際の注意点を解説
台風、梅雨、線状降水帯などによる大雨は、河川の増水や地盤のゆるみを引き起こすなど、さまざまな被害が起こす可能性があります。雨が短時間に狭い範囲で激しく降るような場合には、あっという間に道路に水があふれることもあるでしょう。避難の判断を素早くしなければ命が危険にさらされることもあります。
大雨による水害には、どのような対策をすればよいのでしょうか。
本記事では、大雨が招く水害の種類や避難時の注意点についてお伝えするとともに、備えや対策グッズを紹介します。
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大雨によって起こる水害とは
短時間に激しい雨が降り、気象庁が「記録的短時間大雨情報」を発表することがあります。このような時は、水害の発生に注意しなければなりません。大雨で起こる水害には、どのようなものがあるのでしょうか。以下、詳しく説明します。
洪水
洪水とは、大雨や雪どけで河川の水位が急に上昇することで堤防が決壊し、市街地に水があふれる災害です。大量の水が急に押し寄せるので、住宅の全壊や半壊を招く可能性があり、逃げ遅れると命が危険にさらされます。
堤防の川側面が崩れ始めたり、亀裂が入ったりする現象は、洪水の前兆だといわれています。この前兆が起こると、雨が上がった後に洪水が起こる可能性があるため、天気が落ち着いた後も油断は禁物です。
浸水害
浸水害とは、大雨が降った時に排水が追いつかず、用水路や下水溝から水があふれ、住宅や田畑が水に浸かる災害です。水深が浅い浸水害でも水の流れが速いと、足元をすくわれて流されやすくなります。水深がひざの高さを超えると、歩いて避難することは困難でしょう。また、水は低い方に流れるので、地下空間やアンダーパス(掘り下げ式の道路)が水没することもあります。
浸水害は洪水に比べるとゆっくり進みますが、水深が深くなるほど逃げにくくなるため、早めに避難を始める必要があります。
土砂災害
土砂災害とは、大雨などによって大量の土砂が押し寄せる災害です。山腹や川底の石や土砂が一気に流されることを土石流、斜面や崖が突然崩れることを崖崩れといい、これらは土砂災害に位置づけられます。
土砂災害は、流れ落ちてくる土砂が一瞬で住宅を破壊し、人の命を奪う危険があります。激しい雨でなくても、雨が長時間降ると起こることもあるため、土砂災害が起こりやすい地域では雨が強く降っていない時でも警戒する必要があります。
平時にできる大雨対策
大雨によって水災害が起きると、住宅に被害を及ぼし、人命を奪う危険性があります。水災害を起こすほどの大雨には、どのように備えればよいでしょうか。日頃から対策しておきたいことについてお伝えします。
ハザードマップと避難場所を確認
水災害は地形と関係があります。家の周辺で浸水の危険性がある場所、土砂災害のリスクがある場所はどこなのか、ハザードマップで確認するようにしましょう。洪水、土砂災害などのリスクがわかるハザードマップは、国土交通省や自治体のホームページからダウンロードできます。
また、避難場所は災害の種類によって異なります。浸水や土砂災害など災害ごとの避難場所と避難経路を把握しておきましょう。
参照:身のまわりの災害リスクを調べる|ハザードマップポータルサイト
マイ・タイムラインの作成と確認
マイ・タイムラインとは、大雨などの災害が発生した時にどんな防災行動をとるかを、一人ひとりが時系列にまとめたものです。マイ・タイムラインを考える際には、ハザードマップなどで自分が住む地域の水害リスクを理解し、避難行動に向けた課題を見つけて、どのように行動するかを考えます。
いつ、どのような方法で避難するか、家族と話し合いながらマイ・タイムラインを作り、内容を確認しておきましょう。
溝や雨どいを掃除する
側溝や雨どいにゴミや落葉がたまっていると、大雨の時に詰まって、水があふれる原因になります。普段からきれいに掃除をして、詰まらないようにしておきましょう。
家の周辺の雨水ますの上に物がのっていると、排水を妨げ、水があふれる原因になります。大雨や台風の前には、雨水ますの上に物が置かれていないか確認しましょう。
大雨が近づいてきた時の対策
大雨による水害の被害を小さくするためには、気象情報をチェックして、対策をとることが大切です。
大雨が近づいてきたと思ったら、以下のようなことを準備しましょう。
家財を2階などに上げる
大雨が降ると床上浸水が起き、家財がだめになる可能性があります。濡れては困るパソコン、カメラ、テレビ、重要な書類、衣類、貴重品などは2階に上げておいた方が安心です。
和室の畳は水に浸かると使えなくなります。床から上げて、テーブルの上にのせておくだけでも、水に浸かるのを防げるかもしれません。
自動車は、マフラーやエンジンが浸水すると故障する可能性があります。浸水の心配がない場所に移動できる場合は、雨がひどくなる前に自動車を動かしておきましょう。
災害発生時の連絡手段を確認
大雨の際には、避難したくても身動きが取れなくなったり、家族が別々に避難したりすることがあるかもしれません。また、電話やインターネットがつながりにくくなる可能性もあります。
災害伝言用ダイヤル(171)で音声メッセージを伝言するなど、連絡手段は複数考え、家族がどこにいるか把握しておきましょう。
避難のタイミングを考える
大雨の際には、早めの避難を心がけることが大切です。道路が水没してから避難すると、人も自動車も押し流される危険性があります。
- 急な斜面のそば、川の近く、地下街などにいる場合
- 自治体から避難指示が出た場合。
- 子どもや高齢者など避難に時間がかかる場合
上記のようなケースでは、明るいうちに、早めのタイミングで避難しましょう。
気象情報を確認する
気象庁が発表する注意報・警報・特別警報などの防災気象情報は、こまめに確認しましょう。大雨や洪水の警報の他、土砂災害警戒情報にも注意が必要です。
また、気象庁がWebに提供している「キキクル」も確認するとよいでしょう。「キキクル」は、大雨・洪水警報の危険度分布を、地図上に色分けして表示したものです。災害切迫の場所は「黒」で表示されます。土砂災害や洪水が起きる可能性がある場所にいる場合は、遅くとも、危険を示す「紫」の段階で避難を始めましょう。
【目的別】大雨対策グッズ
大雨によって、停電や断水、交通網の寸断が起こると、さまざまな場面で支障が出ることがあります。水害対策においては、以下のような状況を想定して活用できるグッズを用意しておくのがおすすめです。
- 大雨で避難する場合
- 家が床上浸水・床下浸水の被害を受けそうな場合
- 大雨のなかでの移動が危険と判断して自宅で過ごす場合
ここでは、目的別大雨対策グッズについて紹介します。
防災リュックに入れたい大雨対策グッズ
大雨で避難する時に備えて、両手が使える防災リュックを用意しておくとよいでしょう。ひととおりの防災グッズを取り揃えた防災リュックが市販されていますが、自身に必要なものだけを揃えるためにも、入れるものについてはチェックするのがおすすめです。大雨の際に、防災リュックに入れておくと便利なものを紹介します。
■防災リュックに入れる大雨対策グッズ
懐中電灯 | 予備の電池も入れておきましょう。 |
携帯電話 | 充電器、モバイルバッテリーも入れておきましょう。 |
雨具 | 傘だけでなく両手が使える雨具があるとよいでしょう。 |
飲料水 | 500ミリリットルの飲料水だと便利です。ペットボトルも利用できます。 |
非常食 | 1日分は用意しておきましょう。 |
マスク | 感染症予防のため、複数持っておきましょう。 |
簡易トイレ | 断水する可能性もありますので、1日分あるとよいでしょう。 |
救急セット | ばんそうこう、ガーゼ、テープ、常備薬などを入れておきましょう。 |
ウェットティッシュ | 手を水で洗えない時に便利です。 |
家を守るための大雨対策グッズ
大雨による被害から家を守るためには、ドアや窓などの隙間から水が入ってくるのを防ぐグッズが必要です。よく知られているものに、浸水を防ぐ目的で使用する土嚢や止水板などがあります。家を守るための大雨対策グッズを紹介します。
■家を守るための大雨対策グッズ
水嚢 | 袋に水を充てんして作ります。吸水ポリマータイプの土嚢を活用すると便利です。 |
土嚢 | 一般的には丈夫な袋の中に砂を入れてつくります。 |
止水板 | 家の中に水が入るのを防ぐ板。軽い物が扱いやすいです。 |
ガラス飛散防止フィルム | 窓にはっておくと、水害が起きた時、ガラスが割れて飛び散るのを防ぐことができます。 |
段ボール・ゴミ袋 | 水を入れたゴミ袋を段ボールに入れることで水嚢や土嚢の代替となります。 |
身を守るための大雨対策グッズ
大雨が降るなかの避難では、水によって命が危険にさらされることもあります。風が強い場合には、横殴りの雨にさらされながら避難することもあるため、さまざまな状況を想定して対策グッズを用意するのがおすすめです。ここでは、身を守るための大雨対策グッズを紹介します。
■身を守るための大雨対策グッズ
ヘルメット | 強い風で飛んでくるものが当たらないよう、ヘルメットで頭部を保護しましょう。 |
レインコート | 上着とパンツに分かれたセパレートタイプだと、大雨でも動きやすく下半身が濡れにくいでしょう。 |
防水加工されたスニーカーや靴下 | 大雨による避難では、防水加工された靴や靴下を用意しておくと安心です。 |
脱出ハンマー | 浸水で車に閉じ込められた時、ガラスを割って脱出できるよう、車内に用意しておきましょう。 |
自宅待機で必要な大雨対策グッズ
豪雨や河川の水位上昇で、避難所に行くのが危険と判断した場合などは、自宅で長時間過ごす可能性があります。断水して水道の水が出なかったり、トイレが使用できなかったりすることもあるため、自宅待機を想定して大雨対策グッズを用意しておきましょう。
■自宅待機で必要な大雨対策グッズ
ポリ袋 | 貴重品が濡れないようにしたり、手にかぶせてゴム手袋の代わりにしたりできます。 |
段ボール | 簡易トイレの代替や赤ちゃんのお風呂に使えます。 |
非常用トイレ | 水害が起きるとトイレが使えなくなることが多いので、用意しておきましょう。 |
紙皿、紙コップ、ラップ | 非常食を食べる時に使います。紙皿にラップを敷き、非常食をのせると、数回使用できます。 |
モバイルバッテリー | スマホで情報収集することが多くなります。充電用にあるとよいでしょう。 |
大雨のなかで避難する際に注意すること
水害が発生すると、道路や住宅が浸水したり、地下空間が水没したりすることがあります。流れる水の力は、想像以上に強いものです。そのため、人や自動車が、あふれた水に流されることがあります。
大雨のなかでの避難は、転倒や怪我をする可能性があります。服装に注意しながら、普段歩いている道だからと油断しないようにしましょう。ここでは、大雨のなかで避難する際に注意することをお伝えします。
避難時の服装
大雨のなかで避難する時は、風で飛んできたものが頭に当たったり、転倒したりする恐れがあります。ヘルメットや帽子をかぶり、長袖、長ズボン、両手が使えるようにリュックを活用するのがおすすめです。また、軍手を着用すると手指の怪我を防げるでしょう。避難時に使用する靴は、ひもで締められる履き慣れたスニーカーを選びます。長靴は水が入ると動きにくくなるので、避けた方が無難でしょう。
大雨の時には、マンホールや側溝のふたが外れることがあります。気がつかずに転落する可能性があるため、雨水で足元が見えない場合に備えて、傘や杖を用意しておくと安心です。
冠水した場所を通らない
道路が冠水した場合、転倒して流されてしまうと、命の危険があります。冠水した場所は通らないようにしましょう。避難する時はできるだけ2人以上で行動し、河川や斜面のそば、水がたまりやすいアンダーパスは避けるのが大切です。できるだけ高い場所にある道を使うことが、身の安全を守ることにつながります。
道路が冠水していて避難が危険だと判断したら、なるべく建物の高い階に避難するようにしましょう。
車で避難する場合
自動車で避難する場合も、冠水した道路を避けるようにしましょう。やむを得ず通る場合は、スピードを落とし、前の自動車と車間距離を開ける必要があります。歩いて避難する時と同様に、川沿いの道路やアンダーパスは避けましょう。水田や水路の近くは、道路との境界線がわかりにくくなる可能性があり、危険です。
自動車は水深10センチでブレーキが効きにくくなり、水深30センチでエンジンが止まるといわれています。水深50センチで車体が浮くため、水に流される危険性が高まるでしょう。また車が浸水した場合、水圧でドアが開かなくなるため、車内に閉じ込められることがあります。
自動車で避難する場合には、冠水した道路を避けられるよう早めに行動し始めることが重要です。
川やマンホールから離れる
都市部を流れる川は、川底がコンクリートで覆われていることが多く、川幅が狭いと水位が急に上がる可能性があります。それほど大したことがない雨だと思っても、上流で激しい雨が降っている場合は、水位が急に上がる危険性があります。川からできるだけ離れるようにしましょう。
大雨で排水が追いつかないと、マンホールのふたがずれたり、外れたりすることがあります。なるべく、近づかないようにすることが大切です。
地下にいるのを避ける
水は高い所から低い所に流れるため、大雨の時には地下街、地下駐車場などに水が流れ込む危険があります。地下が浸水すると、階段で地上に出るのが難しくなったり、停電によってエレベーターが使えなくなったりする可能性が高まるでしょう。また、浸水するとドアが水圧で開かなくなることもあるため、地下にいる場合は、気象情報をこまめに確認し、浸水する可能性があると判断したら、すぐに地上に出るようにしましょう。
まとめ
大雨や台風による災害は毎年のように発生しています。なかでも、岡山、愛媛など西日本で大きな被害が出た平成30年7月豪雨では、200人以上が亡くなり、家屋の全半壊などは2万棟以上、家屋浸水は3万棟近くにのぼりました。
大雨による水害対策は、ハザードマップで地域が抱えるリスクを知ったうえで、防災気象情報に注意することが大切です。加えて、日常的に大雨対策を行い、対策グッズを用意しておくことが重要でしょう。
人命を奪い、家を破壊する水災害の恐ろしさを忘れず、早めの避難を心がけるようにしましょう。早く準備し、行動することが、自分の身を守ることにつながります。
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