updated: 2025
クッション言葉とは?役立つ場面別に一覧で紹介
 目次
ビジネスシーンにおいて、会話の前置きとしてよく使われるクッション言葉。文字通り、相手とのクッションとなる言葉であるため、その有無で相手の言葉の受け取り方がかなり変わってきます。
とはいえ、いつでもどこでもクッション言葉を使えばいいというわけではありません。適切な場面で適切な言葉を使うからこそ、最大の効果を得られるのです。
本記事では、クッション言葉の意味とそれが役立つ場面、場面ごとの具体的なクッション言葉の一覧を解説します。ビジネスシーンでの会話をスムーズに進めたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
クッション言葉とは

クッション言葉とは、相手に対して物事を伝える際に、会話の前置きとして使われる言葉のことです。「ビジネス枕詞」と呼ばれることもあります。
ビジネスシーンにおいて、相手に仕事を依頼したり、相手からの要請を断ったり、反論したりすることは避けられません。その際、ただストレートに内容を伝えるだけでは、相手を傷つけたり、不快な思いをさせたりする可能性があります。
本題が言いにくい内容であっても、クッション言葉を挟むことで、相手に心の準備をする余裕を与え、内容に対する衝撃を和らげられるのです。そうすることで、相手も内容を受け入れやすくなるかもしれません。
さらに、クッション言葉を使うと、丁寧でやわらかな印象を相手に持ってもらうことができます。特に、相手の頼みを断ったり、反論したりする場合は、本題が相手にとってマイナスなものなので、クッション言葉で申し訳なさなどを伝えることが重要なのです。
クッション言葉が役立つ場面

クッション言葉はさまざまなときに使われますが、特に以下のような場面で役立ちます。
- 相手に依頼するとき
 - 相手からの要請を断るとき
 - 相手に質問をするとき
 - 相手の言葉に反論をするとき
 - 相手へのサポートを申し出るとき
 
次の章では、上記の各場面で使えるクッション言葉の具体例を、一覧にして紹介します。クッション言葉を使った例文もいくつか紹介しているので、自分用にアレンジして使ってみてください。
相手に依頼する場面で使えるクッション言葉一覧

相手に仕事などを依頼する場面で使えるクッション言葉の例は、以下のとおりです。
- 大変恐れ入りますが
 - ご面倒をおかけしますが
 - お手数をおかけいたしますが
 - お忙しいところ恐縮ですが
 - お忙しいところ申し訳ございませんが
 - ご多忙とは存じますが
 - ご足労をおかけいたしますが
 - ご都合がよろしければ
 - もし可能であれば
 - 私共の説明不足で申し訳ございませんが
 - 細かなことを申し上げて恐縮ですが
 - 言葉足らずで恐縮なのですが
 
この場合は、忙しい相手にさらなる負担を強いることになる可能性が高いため、「ご面倒」「お手数」「ご多忙」といった言葉を使い、相手を思いやる姿勢を示すように心がけましょう。また、依頼内容が修正や改善である場合は「説明不足」「言葉不足」などを入れ、自分たちの悪い部分を認めるスタンスを取ることも効果的です。
気遣いを口にしたり、自身の非をある程度認めたりしてから本題を伝えることで、たとえ内容がキツイことでも、相手はある程度受け入れやすくなるはずです。
たとえば、以下のようにして使ってみましょう。
「お忙しいところ恐縮ですが、〇〇の対応をお願いしてもよろしいでしょうか。」
「ご多忙とは存じますが、○○様のご都合の良い日時に貴社へ伺い、ご挨拶させていただけますでしょうか。」
「私共の説明不足で申し訳ございませんが、○○についての修正を、明日の〇時までにお願いできますでしょうか。」
相手からの要請を断る場面で使えるクッション言葉一覧

相手からの要請を場面で使えるクッション言葉の例は、以下のとおりです。
- せっかくですが
 - あいにくですが
 - 残念ながら
 - ご期待(ご意向)に沿えず申し訳ありませんが
 - お役に立ちたいのですが
 - 大変ありがたいお話なのですが
 - 誠に申し上げにくいのですが
 - 心苦しいのですが
 - お気持ちはありがたいのですが
 
断りの言葉をそのまま言うと、相手に拒絶と受け取られかねません。そのため、「残念ながら」「心苦しいのですが」などを挟むことで、「本当はその要請を受けたいのだ」という気持ちを伝えながら断ることが重要です。
たとえば、以下のようにして使ってみましょう。
「ご期待に沿えず申し訳ありませんが、今回のご提案については採用を見送らせていただきます。」
「誠に申し上げにくいのですが、その日はすでに用事が入っており、参加することは難しい状況です。」
「お気持ちはありがたいのですが、諸事情により、お受け取りすることはできかねます。」
相手に質問をする場面で使えるクッション言葉一覧

相手に質問をする場面で使えるクッション言葉の例は、以下のとおりです。
- お尋ねしてもよろしいでしょうか
 - 立ち入ったことを伺いますが
 - お伺いしたいことがあるのですが
 - 差し支えなければ
 - 恐れ入りますが
 - もしよろしければ
 - もしご迷惑でなければ
 - お時間が許せば
 - 失礼ですが
 
相手に何かを尋ねるということは、相手の時間を割いてもらうということです。そのため、「差し支えなければ」「もしよろしければ」などを使い、相手の都合を考慮するようにしましょう。また、相手を気遣いつつも確実に回答を得たい場合は、「恐れ入りますが」「失礼ですが」とするのが効果的です。
たとえば、以下のようにして使ってみましょう。
「差し支えなければ、弊社の提案にご納得いただけなかった理由を伺うことはできますでしょうか。」
「もしよろしければ、貴社のご担当者様のお名前を伺ってもよろしいでしょうか。」
「お忙しいなか恐れ入りますが、先ほどメールでご連絡いただいた件でお聞きしたいことがあります。」
相手の言葉に反論する場面で使えるクッション言葉一覧

相手の言葉に反論する場面で使えるクッション言葉の例は、以下のとおりです。
- お言葉を返すようで恐縮ですが
 - 失礼を承知で申し上げますが
 - 確かにおっしゃるとおりですが
 - 大変申し上げにくいのですが
 - 出過ぎたことを申しますが
 - 差し出がましいようですが
 - 私の考えすぎかもしれませんが
 - 僭越ながら
 - 見解が分かれる点かと存じますが
 - 余計なこととは存じますが
 
反論の言葉は断りの言葉と同様に、相手にとってはマイナスの内容です。そのため、相手が受け入れやすいよう、「失礼を承知で申し上げますが」「私の考えすぎかもしれませんが」などと謙遜することで、やわらかく穏やかに反論する必要があります。
たとえば、以下のようにして使ってみましょう。
「大変申し上げにくいのですが、ご提示いただいた提案にはいくつかの課題がございます。」
「お言葉を返すようで恐縮ですが、弊社ではA案よりもB案のほうが良いと考えております。」
「僭越ながら、私共の意見をお伝えさせていただきます。」
相手へのサポートを申し出る場面で使えるクッション言葉一覧

相手へのサポートを申し出る場面で使えるクッション言葉の例は、以下のとおりです。
- もしよろしければ
 - 差し支えなければ
 - 私でお力になれることがあれば
 - 私にできることがあれば
 - そちらがご迷惑でなければ
 
相手に対して申し出をする際は、「あくまでこちらが言い出したことなので、断られても問題ない」というニュアンスを伝え、申し出を押しつけないようにしましょう。そのために、「差し支えなければ」「そちらがご迷惑でなければ」などで、一歩引いたところからの申し出であることを示します。
たとえば、以下のようにして使ってみましょう。
「私にできることがあれば、いつでもご連絡くださいませ。」
「そちらがご迷惑でなければ、お手伝いいたしましょうか。」
「もしよろしければ、もう少し詳しく伺うことはできますでしょうか。」
クッション言葉を使用する際に注意すべきポイント

適切に使えば役に立つクッション言葉ですが、使用にはいくつかの注意点があります。ここでは、特に気を付けたいポイントについて解説します。
心を込めて使う
相手に対して申し訳なさや配慮などを示せるクッション言葉であっても、ただ使えばいいというものではありません。
たとえば、クッション言葉を言う声に抑揚がなく、無表情であったとしたら、相手はどう受け取るでしょうか。おそらく、「ただ機械的・形式的に言っているだけだな」と受け取るはずです。そうなると、せっかくクッション言葉を使っても相手からの印象は悪くなってしまいます。
本心から申し訳なさなどを感じていると相手に伝えるために、声の調子や表情なども意識し、心を込めてクッション言葉を使うようにしましょう。
多用しすぎない
適切に使えば言いにくいことでもソフトに伝えられるクッション言葉ですが、多用しすぎると言葉の重みがなくなり、白々しい印象になってしまう可能性があります。加えて、クッション言葉の連続で話が長くなり、本題が何であるかが相手に伝わらないことも考えられます。特に起こりがちなのが、「申し訳ありませんが」の多用です。
クッション言葉はやみくもに使うのではなく、本当に必要な箇所にピンポイントで使用しましょう。
適切なタイミングで使用する
確かに、クッション言葉を使えば相手の時間や都合に対する配慮を示すことができます。しかし、そもそも相手に声をかけるタイミングを見極めることも重要です。
緊急の用件であれば仕方ありませんが、明らかに相手が忙しくしている、もうすぐ終業時間になるなどの状況では、いかにクッション言葉を使っていても、相手を不快にさせるのは避けられません。相手の手が空いていて余裕がありそうなタイミングを見計らって、声をかけるようにしましょう。
まとめ

クッション言葉を効果的に扱うことは、社会人にとって重要なスキルです。特に、相手に何かを頼みたいときや質問をしたいときなど、相手に時間を割いてもらう場面でクッション言葉を使えるか否かは、相手の心証に大きく影響します。
さらに、場面に応じた言葉をチョイスできるかも大切であるため、本記事を参考にして、場面ごとのクッション言葉を覚えておくようにしましょう。

正木友実子

チョビベリー
IKUSA.jp編集部

ともしど