福利厚生

updated: 2021 

福利厚生で助成金を活用する利点と注意すべきポイントとは?

福利厚生で助成金を活用する利点と注意すべきポイントとは?

新しい福利厚生を導入する際、やはりコストについて考えたくなるでしょう。もしこのことが当てはまるのであれば、助成金を利用してみてはどうでしょうか。

今回の記事では、福利厚生で助成金を活用する利点と注意すべきポイントなどを紹介します。新しい福利厚生を導入しようか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

そもそもなぜ福利厚生が必要なのか?

まずは福利厚生の必要性から見ていきましょう。改めて福利厚生が必要である理由を知ることで、福利厚生を新しく導入する目的や内容が明確になってくるでしょう。

なお、補助金との違いとして助成金は要件さえクリアしていれば受け取れますが、補助金は全体の予算があるので要件をクリアしていても審査に通らなければ受け取れません。間違われやすい言葉であるため、この機会に覚えておきましょう。

理由1.法律で義務づけられているため

そもそもの話ですが、福利厚生は法律で義務づけられています。福利厚生は法定福利厚生と法定外福利厚生に分けられています。そのうちの法定福利厚生に、法律に義務づけられている健康保険や介護保険、厚生年金保険などが含まれています。そのため、福利厚生がない企業というのは違法なブラック企業ともいえます。

なお、もう一つの法定外福利厚生は法律で明記されていない福利厚生のことを指します。主なものとしては、家賃補助や交通費の支給、特別休暇などです。法定外福利厚生は企業が独自で導入できるため、企業によってはユニークな内容の福利厚生を導入しているところもあります。

理由2.人材が集まらないため

福利厚生は人材を集めるうえでも有効的です。就活生が福利厚生を重視して入社先を決めるケースもあり、福利厚生が充実しているほど就活生や求職者の興味を引きやすくなります。

また、人を集めるときに、福利厚生が充実していることだけではなく福利厚生の内容次第でも役立ちます。例としてファーレイ株式会社の場合、猫に関する福利厚生がそろっていることが話題になり、猫好きな人材が集まるようになりました。ユニークな福利厚生があると話題を呼び、求人広告を出さなくても人材が集まるため、求人に対するコスト削減にもつながっています。

理由3.離職率が高まるため

福利厚生は働くうえで非常に重要なものであり、働きやすさにも大きな影響を与えます。そのため、福利厚生がなければ働きにくい職場と感じてしまい、多くの従業員が辞めてしまう恐れがあります。離職率が高くなれば優秀な人材が減り、企業としての成長がストップしてしまうかもしれません。

一方で福利厚生を用意して働きやすい職場にしておけば、快適に業務を進められることから離職率の低下につなげられます。優秀な人材が流失してしまうことを防ぐどころか、上記で述べたように人材が集まるようにもなるため、企業全体としての成長が加速されるでしょう。

理由4.生産性の低下につながるため

職場が働きにくく離職率も高い企業というのは、どうしても生産性が低くなってしまいます。生産性が低くなると企業としての売上も少なくなってしまい、次第に経営的にピンチな状況に陥ってしまいます。

福利厚生は生産性の向上にも有効的であり、企業によってはスキルアップへの支援を行っているところもあります。例として運用型広告コンサルティング専門として事業を行うアナグラム株式会社では、書籍代やセミナー・勉強会の参加費をすべて負担してくれます。利用するうえでの要件はあるものの、従業員のスキルアップを目指すためには非常にありがたい制度でしょう。

 

福利厚生で助成金を活用する利点

人によっては、「福利厚生を新しく導入するからといって、わざわざ助成金を利用しなくても……」と思うかもしれません。しかし、助成金を活用することで以下のメリットが受けられます。

返済の必要がない

助成金は、原則として返済する必要がありません。そのため、借金ではなく、雑収入として処理できます。あくまで助成は売上ではないため、その点に気をつけながら処理するようにしましょう。

社内の雇用環境整備に役立つ

社内の雇用環境を整備したいと思っても、予算が少ないと思うようにできません。そのため、中小企業のなかには整備したくてもできないという悩みを抱えているところがあるかもしれません。もしそうであるならば、助成金を申請するうえで整備することができます。

助成金を申請する際には、就業規則や雇用契約書といった帳簿類の書類を提出しなければならない場合が多く、その際に社内の雇用環境を整備できます。改めて見直す機会としても有効的であるため、助成金を申請する際には雇用環境の改善点がないか探しながらまとめるとよいでしょう。

信頼性の向上につながる

「助成金を受け取るって、なんだか企業的にあまりプラスのイメージではないような……」と考えてしまう方がいるかもしれませんが、そんなことはありません。むしろ、助成金を通じて企業のイメージ向上につながります。

助成金を申請する過程で社内の雇用環境や労務環境などを整備できます。そして、それらが問題なければ助成金を受け取れる可能性が高くなるため、助成金を受け取れた企業は雇用環境や労務環境が整備されている企業であるというプラスなイメージを持たれるようになります。そうなれば、信頼性の向上にもつながり、新規契約や営業などで良い効果をもたらしてくれるかもしれません。

 

助成金を活用するうえでの注意点

いくら助成金が魅力的なものだとしても、なんとなく申請するのはおすすめできません。安易な考えだと、さまざまな問題にぶつかって諦めてしまう恐れがあります。そうならないためにも、以下で紹介する注意点を覚えておきましょう。

事前に計画を立てて申請する

助成金は要件を満たし申請すればほぼ受け取れます。しかし、必要な書類をまとめる作業が必要になります。誰でも簡単に助成してもらえるというわけではないため、注意しましょう。

実際のところ、助成金の手続きはややこしいものであり、簡単には進められません。書類の作成に手間と時間がかかるため、ある程度余裕を持って準備するようにしましょう。短期間で終わらそうとすれば、何からのミスが起きるかもしれません。

受給するための要件がある

助成金を受け取るためには要件があります。具体的な要件内容は助成金によって異なりますが、要件を満たしていなければ助成金を受け取れません。だからこそ、狙っている助成金がどのような要件を設けているのかしっかりと読んだうえで準備するようにしましょう。

すぐに受給してもらえるわけではない

要件をクリアしたからといって、その場ですぐ助成金がもらえるわけではありません。内容によっては時間がかかることもあるため、そういった意味でもスケジュールをしっかりと組んだうえで取り組むようにしましょう。余裕を持っておくことで、何か不備があってもすぐ対処できます。

 

福利厚生関係で使える助成金とは?

いくら助成金が良いものといっても、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。そこで最後の項目では、福利厚生関係で使える主な助成金を5つピックアップして紹介します。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者や短時間労働者といった非正規雇用の労働者における企業内でのキャリアアップを目指す助成金です。コースは7つ設けられており、以下のようなラインナップとなっています。

 

  • 正社員化コース
  • 障害者正社員化コース
  • 賃金規定等改定コース
  • 賃金規定等共通化コース
  • 諸手当制度等共通化コース
  • 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
  • 短時間労働者労働時間延長コース

 

それぞれ具体的な内容が異なっており、企業が求める内容に応じてコースを選びます。例として正社員化コースの場合、アルバイトや契約社員などを正社員化させた際に最大57万円の助成金が受け取れます。金額に関しては中小企業と大企業で異なっており、中小企業のほうが受け取る額が多いです。

また、202125日には新型コロナウイルスの影響から、正社員化コースの助成対象を拡充するという制度改正を行いました。これは、新型コロナウイルスの影響で余儀なく離職され、就労経験のない職業に就くことを求める方に対して早期的な再就職のサポートを目的としています。

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金とは、職業経験や技能などの問題から安定的な就職が難しい方に対して、ハローワークや職業紹介事業所などの紹介によって一定期間試行雇用した場合に助成される制度です。早期就職の実現や雇用機会の創出を目標としており、中小企業が抱える採用力の弱さをカバーできる内容ともいえます。

トライアル雇用助成金の要件としては、大きく分けて5つあります。ただ、要件によっては細分化されているものもあるため、パッと見て把握できるものではありません。そのため、トライアル雇用助成金を検討している方はきちんと要件を確認することが必要です。

トライアル雇用助成金の金額は、支給対象者1人につき月額4万円。ただし、母子家庭の母や父子家庭の父である場合には、月額5万円となります。ただし、雇用期間や離職の有無などで変動するため、注意しましょう。

特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金は、高年齢者や障害者といった就職困難者を雇う際に助成される制度です。こちらもキャリアアップ助成金と同じく、さまざまなコースが用意されています。

 

  • 特定就職困難者コース
  • 生涯現役コース
  • 被災者雇用開発コース
  • 発達障碍者・難治性疾患患者雇用開発コース
  • 三年以内既卒者等採用定着コース
  • 障害者初回雇用コース
  • 安定雇用実現コース
  • 生活保護受給者等再開発コース

 

コースによって内容も異なるため、目的に応じたものを選ぶようにしましょう。たとえば生涯現役コースの場合、満年齢が65歳以上の離職者を雇う際に助成されますが、1年以上の雇用が確実であると判断される必要があります。

また、特定求職者雇用開発助成金の要件もキャリアアップ助成金のように変更されることがあります。特に2018年は、制度における不支給の要件や退職による助成金返金の要件が変更されました。

人材確保等支援助成金

人材確保等支援助成金は、従業員の離職率低下や労働環境の向上などを目指す企業に対して助成される制度です。助成金を渡すことで魅力ある雇用創出を図り、人材の確保や定着を目指します。なお、人材確保等支援助成金のコースとしては以下の通りです。

 

  • 雇用管理制度助成コース
  • 雇用管理制度助成コース(建設分野)
  • 人事評価改善等助成コース
  • 介護福祉機器助成コース
  • 中小企業団体助成コース
  • 外国人労働者就労環境整備助成コース
  • テレワークコース
  • 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)
  • 作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)

 

人材確保等支援助成金は、2021年に制度が大きく変更。多くの企業がリモートワークを始めたことでテレワークコースが新設されました。

両立支援等助成金

最後に紹介する両立支援等助成金は、育児や介護をしている従業員が働いている企業におすすめの制度です。こちらの場合、以下のコースに分かれています。

 

  • ・出生時両立支援コース
  • ・介護離職防止支援コース
  • ・再雇用者評価処遇コース
  • ・育児休業等支援コース
  • ・女性活躍加速化コース

 

それぞれ具体的な内容が異なるものの、要件をクリアすることで数十万円の助成金が受け取れます。例として出生時両立支援コースであれば、中小企業で1人目の育休を取得することによって57万円(生産性要件を満たした場合は72万円)が助成されます。

 

助成金で福利厚生の充実化を

今回は、福利厚生で助成金を活用する利点と注意すべきポイントなどを紹介しました。助成金を活用することで、社内の雇用環境整備や信頼性のイメージ獲得といった効果をもたらしてくれます。気軽に申請できるものではありませんが、興味がある方は上記の助成金制度を行っている厚生労働省の公式サイトをチェックしてみましょう。

 

参考サイト

この記事を書いた人

よしふみ
旅行系からビジネス系に至るまで、幅広いジャンルを執筆するWebライター。国内外を旅しながら、記事を書いています。
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