updated: 2024
ウィッフルボールとは?ルール、実施方法、魅力を紹介
専用のボールを使うことで、誰でも簡単に変化球を投げられる野球のようなスポーツ「ウィッフルボール」。聞きなじみのない方もいるでしょうが、少人数・省スペースでもできるスポーツとして、じわじわと広まりつつあるのです。
本記事では、「ウィッフルボール」の概要や実施方法、ルール、歴史などを紹介します。また、「ウィッフルボール」の魅力である変化球の投げ方についても解説するので、是非最後までお読みください。
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ウィッフルボールとは
「ウィッフルボール」とは、穴のあいた特殊なボールを使って行う野球のようなスポーツです。球種ごとの握り方を守って専用のボールを投げれば、野球経験がなくても、シンカーやカーブ、ナックルボールなどの変化球を投げられるようになるのが魅力。
おおまかなルールは野球と同じなので、用具さえそろえば気軽に始められます。専用ボールのほかに必要な道具はプラスチック製のバットだけで、グローブは必要ありません。守備をする際は自分の担当エリアだけを守ればいいこと、バッターが走塁しないことなどから、野球が苦手な方や運動に不慣れな方でも問題なくプレイできます。
ウィッフルボールの実施方法
ここでは、ウィッフルボールで使用する道具と実施の流れについて解説します。
用意するもの
ウィッフルボールで遊ぶ際には、以下のものを用意します。
- 専用ボール
- プラスチック製バット
- Kゾーン(ストライクゾーン枠)
まず、ウィッフルボールならではの専用ボールが必要です。このボールはプラスチック製でとても軽く、穴があいた特殊な形状をしています。この穴により、さまざまな変化球を投げられるようになっています。
プラスチック製のバットは、一般的な野球で使うバットと比べて細く、初心者でも降りやすい形状です。ボールと同じくプラスチック製なので軽く、万が一当たってもケガをする心配はありません。
最後に、ウィッフルボールではキャッチャーを置かないため、Kゾーンというネットをバッターの後ろに置きます。Kゾーンのネット部分がストライクゾーンという扱いです。
ウィッフルボールは日本ではまだまだマイナースポーツであるため、上記の用具をスポーツ店などで購入するのは難しいでしょう。通信販売や後述する日本ウィッフルボール協会で購入することをおすすめします。
実施する際の流れ
ウィッフルボールの試合の進め方は以下のとおりです。
- 2~5人(投手1人、野手1~4人)でチームを作る
- 2チームの代表者がじゃんけんをして攻守を決める
- 守備側のチームは、1番がピッチャー、2番がシングルエリア、3番がダブルエリア、4番がトリプルエリア、5番がホームランエリアに付く
- 投手が投げたボールがノーバウンドでKゾーンに当たった場合はストライク、バッターが打った場合はボールが落ちた場所でヒット判定をする
- 通常の野球と同じく、「3アウトチェンジ・9イニング」で試合を進め、最後に多く点数を取ったほうが勝ちとなる
ウィッフルボールのルール
ウィッフルボールのルールは、大まかには野球と同じです。ただし、捕手や審判がおらず、最低2人からできるように考案されたスポーツということもあり、進塁や走塁に関しては野球よりも緩くなっています。
まず、守備側が付くエリアは、バッターの位置から近い順にシングルエリア・ダブルエリア・トリプルエリア・ホームランエリアと分かれています(下図参照)。そして、試合中、野手は自分の担当エリア以外を守ってはいけないことになっています。
試合では、たとえば、シングルエリアにボールが落ちた場合はシングルヒット、トリプルエリアにボールが落ちた場合はスリーベースヒットになるといった具合です。このように、ウィッフルボールではボールが落ちた位置で進塁を判断し、バッターは走塁しません。これが野球との大きな違いのひとつです。
なお、ボールがKゾーンにノーバウンドで当たったらストライクと見なされますが、ワンバウンドで当たったり、Kゾーンからそれて飛んでいったりした場合はボールと判定されます。4回ボール判定になったらフォアボールとなり、シングルヒットとして扱われるのは野球と同様です。
ちなみに、バッターが空振り三振したり、フライを捕られたり、ゴロ打球をエリア上で捕られたりした場合はアウト判定となります。最初の2つは野球と同じルールですが、エリア上で捕られるとゴロ打球でもアウトになるのはウィッフルボールならではのです。
ウィッフルボールの魅力はさまざまな変化球
ウィッフルボールの最大の魅力は、誰でもさまざまな変化球を投げられるようになることでしょう。
一般的に、変化球を投げるにはかなりの練習が必要です。しかし、穴をあけることで空気抵抗を受けやすくなっている専用のボールを使えば、野球未経験者であっても、握り方と投げ方を覚えるだけで変化球が投げられます。
ウィッフルボールで投げられるようになるおもな変化球とその投げ方は以下のとおりです。
球種 | 投げ方 |
スライダー |
|
ライザー |
|
ストレート |
|
スクリューボール |
|
ほかにも、握り方を工夫すればシンカーやカーブ、ナックルボールも投げられるようになるので、自分だけの投球フォームを考えてみましょう。
ウィッフルボールの歴史
そもそも、ウィッフルボールとはどのようにして誕生したのでしょうか。
考案したのは、アメリカ合衆国・コネチカット州に住むデビッド・N・ムラニーという人物です。彼は、自分の息子と自宅の庭で手軽かつ安全に野球をしたいという思いから、ウィッフルボールというスポーツを考え出しました。
なお、「ウィッフルボール」の名前は、コネチカット州ではストライクのことを「ウィフ」と呼んでいたことからきています。
やがてウィッフルボールは全米中に普及していき、世代や性別を問わず愛されるスポーツとなりました。考案されたのは1953年のことなので、誕生からおよそ70年が経っていることになります。
アメリカ合衆国では、2010年にウィッフルボールのリーグが発足しており、各地で大会も開催されるなど、有名スポーツのひとつになりつつあります。
ウィッフルボールの競技人口と普及のようす
ウィッフルボールはアメリカ合衆国で誕生したスポーツであるため、アメリカ国内では普及が進んでいます。正確な競技人口は不明ですが、前述したウィッフルボールのリーグには8チーム50選手が在籍していることがわかっています。
さらに、リーグ関連のSNS(TikTokやInstagram)のフォロワー数は50万人を超えていたり、公式グッズが販売されたりと、注目度も高いといえます。
一方、日本ではどうでしょうか。日本でもアメリカと同様、はっきりとした競技人口は出されていません。
目安として挙げられるのは、日本ウィッフルボール協会の公式X(旧Twitter)のフォロワー数です。2024年5月時点で、日本ウィッフルボール協会のフォロワーは1,200人ほどとなっています。Xでのポストを見ると、協会公式大会である「1day大会」や無料体験会などを開催しているとあり、さまざまな形で普及を進めているようです。日本ウィッフルボール協会では道具の販売も行っているため、お試しとして専用のボールとバットを購入してみるのもよいでしょう。
また、関東地方を中心として、各地にウィッフルボールのチームが存在しています。なかには、2022年にウィッフルボール世界大会に出場したチームもあり、今後の国内での普及が期待されています。
まとめ
「ウィッフルボール」は、限られたスペースで安全に野球を楽しむことを目的に考案されたスポーツです。専用のボールを使うことで、さまざまな変化球を投げられるようになれるのが魅力。さらに、Kゾーンという用具も揃えれば、2人だけでも気軽に楽しむことができます。
野球が原型になっているだけあって大まかなルールは野球と似通っており、初心者でも比較的容易になじめるでしょう。変化球も、投げ方を覚えれば誰でも簡単に投げられるようになるため、参加者同士で技術の差が大きく出ることもありません。
日本ではまだ普及しているとは言い難いウィッフルボールですが、その魅力は徐々に浸透してきています。専用のボールとバットがあれば、省スペース・少人数でもできるこのスポーツを、レクリエーションなどに取り入れてみてはいかがでしょうか。
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