updated: 2024
企業の福利厚生制度の種類とは?法定福利厚生・法定外福利厚生一覧
企業の福利厚生制度には「法定福利厚生制度」(法律で定められているもの)と「法定外福利厚生制度」(法律で定められてはいないもの)があります。
福利厚生制度が充実していると、従業員にとっての魅力の一つとなり、従業員満足度(エンゲージメント)が向上し、離職率の低下やスキルアップによる成果アップなどを期待できます。
今回は、福利厚生制度の種類をまとめて紹介します。福利厚生制度を分類し、わかりやすく一覧形式でまとめました。お問い合わせはこちら
福利厚生とは
福利厚生は、企業が従業員やその家族に対して、経済的支援や社内の環境整備などを行うサービスの総称です。法律で定められているものを「法定福利厚生制度」、それ以外を「法定外福利厚生制度」といいます。
法定福利厚生制度は、企業が義務づけられているので基本的にはすべての企業にありますが、法定外福利厚生制度があるかどうかは企業によってさまざまです。
福利厚生は、正社員に限らず、非正規雇用社員にも適用されます。大企業は2020年4月1日から、中小企業は2021年4月1日からパートタイム・有期雇用労働法が施行されました。これにより、業務上の責任の大きさや業務内容の違いなど、合理的であると認められる場合を除き、正社員と非正規雇用社員の待遇に差をつけることができなくなっています。
法定福利厚生制度の種類
以下では、とくに重要な法定福利厚生制度の種類をまとめて紹介します。
雇用保険
公的な労働保険制度の「雇用保険」の掛け金を支払っていれば、失業給付、教育給付、就職促進給付などの公的なサービスを受けられます。これにより、従業員は失業や育児休業などで働けなくなった場合に、金銭を受け取れます。
健康保険
「健康保険」は、病気やケガをした場合や、出産や死亡などに備えて加入しておく医療保険制度です。健康保険に加入していれば、働くことができず収入を得られなくなった際に、保険給付を受けられるようになります。
厚生年金保険
「厚生年金保険」は、国民年金に加算して支払われる年金です。国民年金の金額に上乗せして厚生年金保険料を支払うことで、受給額が加算されます。
労働者災害補償保険
「労働者災害補償保険」は、業務中や通勤中の事故でケガをしたり、病気になったりした場合に、保険給付を受けられる制度です。
介護保険
「介護保険」は、介護をする人、介護を受ける人に対して、介護費用の一部を給付する制度です。これにより、最小で介護費用が一割負担となります。自己負担は収入に応じて増える場合があります。
子ども・子育て拠出金
「子ども・子育て拠出金」は、国や地方自治体の子ども・子育て支援策を行うための税金を納め、役立てる制度です。毎年のように拠出金率が改定されており、2020年4月には、0.34%から0.36%に引き上げられました。
障がい者雇用納付金
「障がい者雇用納付金」は、障がい者を雇用するための費用を、企業に対して助成する制度です。
災害補償
「災害補償」は、従業員が業務中や通勤中にケガや病気をした場合に、保険給付を行う制度です。
健康診断
「健康診断」は、法定福利厚生制度として定められています。法律で定められた診断項目にあたるものに限られ、それ以外の項目や、人間ドックなどは法定外福利厚生制度に含まれます。
法定外福利厚生制度の種類
法定外福利厚生制度の種類を紹介します。法定外福利厚生制度は、以下で紹介するものの他にもあり、今回は、とくに重要な法定福利厚生制度をまとめます。主な分類は以下のとおりです。
- 健康・医療
- 住宅
- 休暇
- 育児・介護
- 業務・職場環境
- 慶弔・災害
- 財産形成
- 文化・体育・レクリエーション
- 自己啓発
健康・医療
以下、「健康・医療」に関連する法定外福利厚生制度をまとめます。
医療費補助
従業員の医療費を企業が補助します。「3,000円を超えた分を補助」、「上限は1回あたり2万円」など、金額や割合は企業によってさまざまです。
健康診断(法律で定められていない項目)
労働安全衛生規則として定められている11項目以外の健康診断を行う場合、法定外福利厚生制度にあたります。従業員の健康診断を行わなかった場合には企業が罰せられる恐れがありますが、法律で定められていない項目についてはその対象になりません。
人間ドック
健康診断のほかに人間ドックを行う場合も、法定外福利厚生制度にあたります。企業に対して実施することを義務づけてはいませんが、従業員の健康を考えて福利厚生として定めている企業もあります。
メンタルチェック・カウンセリング
従業員のメンタルチェックやカウンセリングを行い、精神のケアをします。体の健康に限らず、メンタルヘルスケアをすることも企業の義務と考える場合には、福利厚生に含めましょう。メンタル面の不調が原因で退職、休業などが起こるリスクを軽減したり、大きなトラブルに発展する前に予防したりする効果が期待できます。
自転車通勤手当
自転車通勤の従業員に対して手当を出します。自転車通勤をしている従業員は交通費が支給されず、不平等だととらえられる場合があるからです。自転車通勤により適度な運動をして健康に良い影響を与える可能性があります。
社食
社食の一部または全額を企業が負担します。従業員は日々の朝食や昼食にかかる費用が軽減され、満足度の向上につながる場合があります。
仮眠制度
業務中の仮眠を認める制度です。仮眠室を設置する場合もあります。時間を決めて制度化すれば、従業員は規則に沿って仮眠できるようになります。従業員の業務中の集中力維持に役立つ制度です。
ダイエット手当
従業員の体重が落ちたことに対して手当をつける制度です。肥満や肥満予備軍による体調不良を防ぐ効果を期待でき、従業員の健康に配慮した福利厚生の一つです。
禁煙手当
禁煙に成功した従業員に対して手当を出す制度です。ダイエット手当同様、従業員の健康維持に良い影響を与えることを目的とした福利厚生です。禁煙手当の対象者を喫煙者に限ると不平等になるため、実施する場合には従業員全員を対象とすることを検討する必要があるでしょう。
住宅
以下、「住宅」に関連する法定外福利厚生制度をまとめます。
住宅手当
従業員の居住地にかかる家賃の一部または全額を企業が補助します。
社宅・寮
企業が社宅・寮を所有し、従業員に貸す制度です。家賃の一部または全額を補助し、安く貸すことで従業員の生活費を削減する効果があります。
住宅ローン補助
企業が従業員の住宅ローンの一部を補助します。
近所手当
企業の所在地の近くに住んでいる従業員に対して手当を出す制度です。通勤時間が短くなることで、従業員が時間をさらに効率良く使えるようになります。
休暇
以下、「休暇」に関連する法定外福利厚生制度をまとめます。
リフレッシュ休暇
従業員がリフレッシュすることを目的とした福利厚生で、特別休暇の一つです。勤務年数や従業員の年齢に応じて、特別に休暇を与えます。1日休暇、長期休暇など、期間や取得可能な時期などは企業によってさまざまです。
記念日休暇
結婚記念日などの記念日に従業員が休暇を取得できる制度です。
失恋・離婚休暇
従業員が失恋や離婚をした場合に、休暇を与える制度です。失恋や離婚をして喪失感のある従業員が整理をする期間を与え、気持ちを切り替えて業務に復帰できる可能性があります。
育自分休暇
従業員が一度企業を辞めた状態とみなし、留学や転職を自由にして自身のスキルアップができる期間を設ける制度です。最大5~6年程度とし、従業員が希望すれば復職できます。
ボランティア休暇
ボランティアに参加するための休暇を与えます。従業員が希望した場合、1週間~数カ月程度の休暇を与え、ボランティアに行くことを企業が許可する制度です。
学び休暇
従業員が勉強をすることを目的とした休暇です。資格試験の前、勉強会やセミナーへの参加など、学ぶための休暇を与える制度です。
育児・介護
以下、「育児・介護」に関連する法定外福利厚生制度をまとめます。
育児手当
育児にかかる費用や収入が減った分を補助するために企業が金銭を負担する制度です。育休中は収入の一部を保障される場合がありますが、収入が減ってしまうと家計を圧迫する危険性があります。そうした負担を軽減し、従業員が育児に専念できる状態にすることを目的として企業がサポートします。
育児休暇
育児をするための休暇を取得できる制度です。国が定める育児休業制度を利用すれば、従業員は子どもが1歳~1歳半になるまで育児休業でき、助成金により給料の一部が補助されます。
託児所・保育所の設置
託児所や保育所を企業のオフィス内または近くに設置することで、育児と仕事の両立をサポートします。空きがなかったり金銭的な余裕がなかったりして、託児所や保育所に預けられないことがあるからです。そうした問題を解消し、育児をしながらでも働ける環境づくりの一助になります。
子ども行事支援
従業員が子ども行事に参加するためのサポートをする制度です。休暇を与え、従業員が子どもの行事に参加できるように支援します。
介護休業
要介護者または介護とする人に対し、介護休業を認める制度です。企業によっては介護をする人だけではなく、受ける人も休業できる場合があります。
業務・職場環境
以下、「業務・職場環境」に関連する法定外福利厚生制度をまとめます。
在宅勤務制度
従業員が在宅勤務をすることを認める制度です。在宅に限らず、テレワーク全般を認める企業もあります。在宅勤務を実施するために必要なインターネット環境にかかる費用を企業が負担したり、デバイスを支給したりする場合もあります。
カフェテリアプラン
オフィスにカフェテリアを設置します。従業員は自由に利用し、カフェで気分転換ができるようになります。
マッサージ利用制度
オフィス内でマッサージを受けられる環境を整備します。マッサージ師を雇ったりスペースを確保したりする必要がありますが、従業員の疲れを癒す効果を期待できます。
フィットネス制度
オフィス内にフィットネスを目的としたジムを設置し、従業員が自由に運動やトレーニングを行える環境を整備します。営業日にも運動をする時間を確保できるようになり、従業員が運動をする頻度が上がれば、健康維持につながる可能性があります。
ワーケーション手当
ワーケーションをするための費用を企業が補助する制度です。観光地で業務をすることで、新たなアイデアが生まれたり、リフレッシュ効果を期待できたりします。
育児出勤制度
乳幼児と一緒に出社できる制度です。オフィスで育児をしながら働けるようになり、「子どもと過ごす時間を長く取りたい」と考えている従業員や、託児所や保育所に子どもを預けられない従業員が魅力を感じ、満足度が上がる可能性があります。
働き方支援
従業員の生活に合わせた働き方を認める制度です。勤務時間や出勤日を柔軟に変えられるようにしたり、在宅勤務を認めたりします。
ジョブチェンジ制度
従業員が配置転換に関する要望を企業に伝えられるようにする制度です。異なる職種にチャレンジしたいと考えて転職を希望する従業員の退職を防いだり、仕事に対するモチベーションがアップしたりする効果が期待できます。
慶弔・災害
以下、「慶弔・災害」に関連する法定外福利厚生制度をまとめます。
慶弔・災害見舞金
慶弔(祝い事や身内の不幸など)、災害時に企業から金銭を支給する制度です。
遺族年金、遺児年金、遺児育英年金
従業員本人が死亡した場合に、遺族や遺児が年金として金銭を受け取れる制度です。
結婚祝い金
従業員が結婚した際に金銭を支給する制度です。
入学祝い
従業員の子どもが入学したことを祝う金銭を支給する制度です。
従業員とその家族の弔慰金
従業員本人や家族が死亡した場合に金銭を支給する制度です。
財産形成
以下、「財産形成」に関連する法定外福利厚生制度をまとめます。
財形貯蓄制度
従業員の給料の一部を控除し、企業が代わりに貯蓄する制度です。企業が金融機関に給料の一部を入金して貯蓄します。制度の総称を「勤労者財産形成促進制度」といいます。
社内預金制度
従業員の給料や報酬の一部を企業が代わりに貯蓄する制度です。財形貯蓄制度と同様に貯蓄を代行する制度ですが、社内預金制度は預金を手軽に引き出せます。
持株会
持ち株制度を利用して自社の株式を取得できる制度です。従業員が毎月一定の株式を買い付けられます。従業員が自社の株式を取得できる「従業員持株会」、親会社の株式を取得できる「拡大従業員持株会」などがあります。
確定給付企業年金制度
企業が年金資産を運用し、従業員が年金を受け取れる制度です。年金規約に基づいて年金資産の管理、運用を行う「規約型企業年金」、企業年金基金が管理、運用を行う「基金型企業年金」があります。年金資産の掛け金は企業が負担しますが、半数を上回らない金額を従業員が負担できます。ただし、本人の同意が必要です。
確定拠出年金制度
企業が年金資産を運用し、従業員が年金を受け取れることは確定給付企業年金制度と同じですが、確定拠出年金制度は、年金資産の運用状況に応じて受け取れる金額が変わります。
文化・体育・レクリエーション
以下、「文化・体育・レクリエーション」に関連する法定外福利厚生制度をまとめます。
余暇施設(運動施設、保養所)
運動施設や保養所などの、従業員が余暇を過ごすための施設を企業が管理します。
文化・体育・レクリエーション活動支援
文化、体育、レクリエーション活動を行うための施設の保有、管理、契約などを行い、従業員の活動を支援します。社内運動会や社内レクリエーションなどの社内イベント、部活動やサークル活動、社内行事などの支援を行います。
社員旅行
企業の従業員全員、もしくは希望者が旅行をする費用の一部またはすべてを企業が負担します。
社内イベント
社内運動会、社内レクリエーション、社内親睦会などのイベントを企業が主導して行います。オンラインが開催する社内イベントもあります。
部活動・サークル活動支援
企業が部活動やサークル活動にかかる費用を負担したり、活動に費やせる時間を確保したりして支援します。
交際費補助
社内の飲み会や親睦会などにかかる費用を企業が負担します。
自己啓発
以下、「自己啓発」に関連する法定外福利厚生制度をまとめます。
公的資格取得・自己啓発(通信教育等)支援
従業員が資格を取得するための受験費用や学ぶための費用を企業が負担し、支援します。業務に必要な資格を取得するための支援にかぎらず、従業員自身のスキルアップやキャリア形成に必要な資格であれば認める場合もあります。
勉強会・セミナー参加支援
従業員が勉強会やセミナーに参加するための費用を企業が負担したり、参加するための休暇を与えたりして支援します。営業日に勉強会やセミナーが実施されて参加できない場合にも、参加しやすい環境を整備できます。
書籍購入支援
書籍を購入する費用を企業が負担します。資格取得のために必要な教材や、スキルアップのためのビジネス書など、企業によって認める範囲、負担する金額や割合などは異なります。
研修制度
従業員が参加できる研修を企業が主導して開催する制度です。新人研修、役職者研修、役員研修などがあります。
出戻り支援
スキルアップを目的として、転職や留学をした従業員が企業に戻れる環境を整備します。転職、留学によって企業を退職した場合であっても、人材が出戻りして流出を防ぐ効果を期待できます。
まとめ
法定福利厚生制度、法定外福利厚生制度の種類を紹介しました。
法定外福利厚生制度は企業によってさまざまで、なかにはユニークなものもあります。従業員が働きやすく、満足のいく福利厚生制度を整備することで、業績の向上や企業のイメージアップなどを期待でき、離職率の低下に影響する可能性もあります。
離職率の低下には従業員満足度の向上が影響します。企業の制度を見直し、より満足のいく環境を従業員に対して提供しましょう。
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