updated: 2024
ファシリテーションとは?効果や目的について解説!
目次
会議やミーティングを効果的かつ生産的に進めるスキルとして、ファシリテーションが注目を集めています。議論中になかなか意見がまとまらない、話が脱線しそうになったという場合も、ファシリテーションを担う人がいれば、適切な軌道修正が可能です。しかし、そもそもファシリテーションとはどのような技法なのかわからないといった声もよく聞かれます。そこで今回は、ファシリテーションの効果や目的について詳しく解説します。
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ファシリテーションとは?
ファシリテーション(facilitation)とは、「促進する」「簡単にする」という意味を持つ英単語facilitateの名詞形です。人々の活動、とりわけ集団での活動が円滑に進むようにサポートし、うまくことが運ぶように支援することを意味します。
ファシリテーションは、単に司会進行を滞りなく進めるテクニックではありません。参加者が集団で問題を解決するプロセスをはじめ、アイデアの創造、教育、学習など、あらゆる「知識創造活動」を支援し促進していく働きがあります。
ファシリテーションの目的
ファシリテーションの重要な目的は、多様な価値観を持つ集団を1つの目標達成に導くことにあります。年齢、性別、職業など、さまざまなバッググラウンドを持つメンバーが同じ目標を達成するためには、全員で同じ方向に向かって進むことが不可欠です。
ファシリテーションを行うことで、中立的な立場からさまざまな意見をうまく舵取りして、適切なゴールへ導くことができます。
ファシリテーションの役割は、会議やミーティングといったビジネスの分野だけにとどまりません。地域活動やグループ学習、生涯学習など、あらゆる集団活動の場面で役に立つ手法といえるでしょう。
ファシリテーションの効果
ここでは、ファシリテーションがもたらす4つの効果を紹介します。
新しい発想を引き出す
集団で話し合うことの難しさとして 、誰も意見を言わなかったり、同じ人ばかりが発言したりといったことがあります。ファシリテーションの手法を使えば、メンバーの意見をうまく引き出し、議論を整理して、全員が納得する形に導くことが可能です。
ファシリテーションによって活発な議論が展開されれば、お互いの議論に触発されて新しい発想やアイデアが生まれやすくなるでしょう。結果として、これまでと異なる革新的な答えにたどり着き、より良いゴールを目指せます。
組織により良い変化をもたらす
ファシリテーションは、集団で目的を達成させるためのプロセスをサポートします。その過程でメンバーの協働と成長が自然と促され、個人や集団に良い変化がもたらされるでしょう。
また、ファシリテーションでは参加メンバーが主体的に発言・行動するよう働きかけるため、人材育成や成果の出る組織づくりにも役立ちます。
ファシリテーターとは?
ファシリテーターとは、わかりやすくいうと「ファシリテーションを行う人」のことです。会議でいえば司会進行役にあたります。
しかし、ファシリテーターの役割は、単に会議をうまく進行させ、結論をまとめることだけにとどまりません。集団で目的や目標を達成できるよう、1人ひとりの考えや意見を引き出し、意見のぶつかり合いをコントロールしながら、建設的な対話へと導く役割を担っています。
ファシリテーターに求められる役割
ファシリテーターに求められる役割とはいったいどのようなものなのでしょう。以下で詳しくみていきます。
ゴールを設定する
理想的な会議やミーティング、プロジェクトを実現するためには、活動のゴールを定めることが重要です。ゴールを決めずに物事を進めていくのは、目的地もわからず、地図も持たずに航海に出るようなもの。どんなに優れた船員がいても、広大な海のなかで迷ってしまうでしょう。
ファシリテーターは、活動の目的地を定め、無事にたどり着くよう船員をまとめる船長のような立場です。何のために活動を行うのか、ゴールに到達すためにどのような方法があるのかなどを明確にして、参加者と共有する役割を担います。
話しやすい雰囲気づくりをする
参加メンバーが気軽に意見を出しやすい安心・安全な場を作ることも、ファシリテーターの重要な役割の1つです。
さまざまな人が集まって活動を行うと、多様な発言が飛び交います。時には、意見が対立することもあるでしょう。また、発言力の強い人が最初に持論を展開すると、他の人が遠慮して自分の意見を出せなくなり、十分な議論ができないまま、声の大きい人の意見が通ってしまうことがあります。
ファシリテーターは、中立的な立場から意見の対立を調整したり、参加者全員の発言を促したりして、みんなが気持ちよく話し合いができるような雰囲気づくりをします。
コミュニケーションを促す
会議の質を高めるには、参加メンバーのコミュニケーションを促進することが欠かせません。お互いの意見や考え方、人間性、立場などを理解し合えば、一方的な決めつけや価値観の押し付けがなくなり、自由な雰囲気のなかで活発な意見交換ができるようになります。
ファシリテーターは、コミュニケーション活性化を促す役割を担っています。参加者全員に働きかけ、それぞれの思いをしっかり引き出すことで、メンバー同士の相互理解を深めます。
時間を管理する
ファシリテーターには、タイムキーパーとしての役割もあります。タイムキーパーとは、活動の場において時間配分を管理し、時間内にまとまるよう進めていく人のことです。
話し合いに集中したり白熱したりすると、参加者は時間を忘れてしまいがちです。それをうまくコントロールしていくのもファシリテーターの重要な役割です。
参加者の人数が多い場合、ファシリテーターが1人でタイムキーパーをしながら、全員に目を配るのは難しいかもしれません。ファシリテーターの負担が大きい場合は、タイムキーパー役を誰かに担当してもらうのも方法の1つです。
話を整頓してまとめる
たとえ、話し合いで活発な意見が飛び交ったとしても、仲介役がいなければうまく話がまとまりません。そこで、まとめ役となるのがファシリテーターです。
ファシリテーターは、多様な意見やアイデアを整理・集約して、参加メンバーが新たな気づきや学びを得られる機会を提供する役割を担います。仮に論理が飛躍したり、話が脱線しそうになったりしても、ファシリテーターがうまく軌道修正を図ります。
合意形成をサポートする
合意形成(コンセンサス)とは、多様な意見を持つメンバーが、価値観の違いを認め合い、お互いに納得のいく形で意見の一致を図ることをいいます。業務を円滑に進めるためには、合意形成が必要です。
さまざまな背景を持つ人が集まる場面で、意見を引き出し合意形成していくのは容易なことではないでしょう。参加者の合意形成・相互理解に向けてサポートを進めていくのもファシリテーターの重要な役割です。ファシリテーターがいることで、限られた時間内に全員が納得できる結論を導き出すことができます。
ファシリテーションの流れ
ファシリテーションの流れは、大きく3つに分けられます。会議、ワークショップにおけるファシリテーションの手順をみていきましょう。
事前準備
会議の場合
効果的なファシリテーションのためには事前準備が必要です。あらかじめ、以下の準備しておきましょう。
- 活動の目的や目標を定める
- 会議の進め方を確認する
- どのようなメンバーが集まるのか参加者情報を共有する
- 使用するツールの確認と準備
- 会場の整備や備品の準備
- フレームワークの準備
前もって会議中のルールを定めておくと、無用のトラブルを避けることができます。以下のようなルールを設定しておきましょう。
- 積極的に参加者の話を聞く
- 他人の意見を批判しない
- 理解できない場合は質問する
- そこで話した内容を許可なく外に持ち出さない
ワークショップの場合
ワークショップとは、参加者が主体となる体験型イベントのことです。与えられたプログラムや課題をこなし、メンバー同士で学び合ったり、何かを創り上げたり、問題を解決したりして、学びを得ることを目的としています。
そのための準備として、メンバーに合ったプログラムを作り、参加を促すための仕掛けを考える必要があります。どのような順番で活動を進行するのか、活動が活発に進行するため会場には何が必要なのかなど、ワークショップが始まる前に考えておきましょう。
活動中(会議・ワークショップ中)
会議の場合
会議の目的に到達できるようサポートをすることがファシリテーターの役割です。参加者に活動の目的や目標を認識させ、現時点での問題や課題を解消するための対策を考えるように誘導して、より有意義な議論ができる環境を構築していきます。
ファシリテーターが会議中にやることは以下の6つです。
- 参加者に会のゴールや進め方を認識させる
- 場の雰囲気を活性化する
- 参加者全員の発言を引き出す
- 発言への理解と共感を示す
- 論点のずれをなくすため、定期的に目的を確認する
- 適切な合意形成を促し、結論へと導く
ワークショップの場合
会議に比べると参加者が能動的に動く場面が多くなるため、メンバー同士が自分の意見や考えをぶつけ合うディスカッションではなく、対話をメインに進行していきます。
お互いに相手の話に耳を傾けて、新しいアイデアを一緒に見つけていく形で参加者の対話を促していきましょう。参加者が主体的・対話的に深い学びが得られるよう、ファシリテーターは必要以上に介入しないようにします。
終了後
司会進行役は、会議を滞りなく進めて、時間通りに終了させられれば成功です 。一方、ファシリテーターには、会議終了後もやるべきことがあります。
会議の場合
たとえ活発なディスカッションが行われたとしても、会議の決定事項を次のアクションに繋げられなければ意味がありません。会議の最終段階を迎えたら、参加者とともに議論の内容を振り返って整理しましょう。
当初の設定したゴールまでの達成状況を確認し、積み残した課題があれば次回までの宿題としてまとめます。「誰が」「いつまでに」「何をする必要があるのか」を明確にして、次のステップとして確認します。
全員が会議に対して共通の認識を持つことが重要です。誤解や間違いを防ぐためにも、会議で話し合った内容や結論は議事録に残しておきましょう。
ワークショップの場合
ワークショップは、講義やセミナーのようにスキルや知識を得るだけでなく、参加者の意欲やアイデアを引き出すために行われます。ワークショップ終了後は、活動に参加したことでどんな学びや発見があったのかを全員で振り返る時間を設けることが重要です。
ワークショップの活動内容は、しっかりと記録しておきましょう。記録を残すことにより、次回のワークショップを行う際に、反省点を活かして改善策を打ち出せます。
ファシリテーションを進める際に必要なスキル
ファシリテーションを進める際に必要な4つのスキルを紹介します。
- 場のデザインスキル(共有)
会議の下準備にあたる部分です。会議の目的を明確にしたうえで、会議の論点や議論の進め方をメンバーと共有します。 - 対人関係(コミュニケーション)のスキル(発散)
傾聴や質問によって参加者の意見を引き出し、議論を広げていきます。 - 構造化のスキル(収束)
出された意見をまとめながら共有し、論点を絞り込んで、構造的に整理していきます。 - 合意形成のスキル(決定)
さまざまな意見を集約して1つにまとめ、実行に移せるようにサポートします。
ファシリテーションを行う際のポイント
ここからは、実際にファシリテーションを行う際のポイントやコツ をみていきましょう。
ポイント1:発言しやすい雰囲気を整える
会議ではより多くの考えや意見を引き出すことが重要です。活発なディスカッションが行われることで、アイデアが広がったり、結論への納得度が高まったりする効果が期待できます。
メンバー全員が発言しやすくなるよう、場を和ませるための工夫が必要です。そのためには、排他的、否定的な雰囲気にならないよう注意しましょう。
会議を進めていくうえで意見が少なかったり、偏りがあったりする場合は、ファシリテーターが質問を深掘りして、議論が活発に行われるようサポートします。
ポイント2:中立性を大切にする
会議の主役はあくまでも参加者です。そのため、ファシリテーターが特定の人物に肩入れしたり、特定の意見に賛成したりするのは好ましくありません。
ファシリテーターは自分の意見を言わず、中立の立場を貫くことが大切です。常に中立の立場で、多数派・少数派の意見のどちらにも耳を傾け、参加者全員の意見を引き出しながら、最終合意へと導いていきましょう。
議論の趣旨から離れた意見が出た場合も、同意や反対はせず、さりげなく本題に戻すことも求められます。
- 軌道修正に便利なフレーズ
「〇〇についても考えることは大切ですね。ただ、本来の会議の趣旨からは少し離れているようですので、その話はまた機会に伺うとして、いったん本題に戻りたいと思います」
ポイント3:発言者が偏らないよう配慮する
十分な意見交換が行われるようサポートすることも、ファシリテーターの役割です。特定の人物だけの意見に偏らないよう、チェックする必要があります。
1人ずつ順番に発言してもらう、ファシリテーターが指名するなど、参加者全員がフラットに話せるよう配慮しましょう。たとえば「全員が少なくとも1回は発言する」「人の話は最後まで聞いて遮らない」「他の人の意見に文句を言わない」などのルールを設けることをおすすめします。
ポイント4:話の要点を整理する
会議の場で、誰もが理路整然とわかりやすく発言できるわけではありません。「一生懸命説明してくれているけれど、話の内容がわかりにくい」人が存在するのも事実です。
わかりにくい意見が出た場合、ファシリテーターはその本質を見極めたうえで内容を整理し、他のメンバーにわかりやすく伝えなおす役割があります。
その際、発言者の価値観や考え方を尊重した言い方に変換するのがポイントです。話の要点を抽出し、発言者から「その理解で合っている」と合意を得られれば、改めて会議をスムーズに再開できるでしょう。
- 相手の意見を要約する際に便利なフレーズ
「つまり○○さんのご意見は、□□ということでよろしいでしょうか」
ポイント5:必要に応じて介入する
ファシリテーターは参加者を見守り、支援する立場です。発言が順調な時は、過度に介入せず、発言も控えたほうがよいでしょう。
しかし、発言が続かない、本題から脱線しているなど議論に停滞や混乱がある場合は、公平な介入をします。客観的な立場で必要な言葉を投げかけて、議論の場がうまく進行するように舵取りをしましょう。
ゲームで楽しくファシリテーション能力を高めよう!
リモ謎
ファシリテーション能力を高めるゲームをお探しなら、オンライン型の謎解き脱出ゲーム「リモ謎」がおすすめです。ビデオチャット機能を使い、チームで謎解きをしながら、閉ざされた空間からの脱出を目指します。謎を解いていく過程で、参加者同士の協力が求められるため、ファシリテーション能力が鍛えられます。
合意形成研修 コンセンサスゲーム ONLINE
コンセンサスゲームとは、複数人で合意形成をする過程を実践的に学べる研修です。ゲームを通して、合意形他者と意見をすり合わせる難しさを体感できるでしょう。コンセンサスゲームに取り組むことで、ビジネスシーンで必要とされるコミュニケーションやファシリテーションのスキルを身につけられます。
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チャンバラ合戦
チャンバラ合戦は、老若男女問わず楽しめるチームビルディングアクティビティです。利き腕にスポンジの刀、逆の腕に「命」と呼ばれるボールを装着して、大人数でチームに分かれて合戦します。戦の前に各チームで軍議(作戦会議)をおこない、戦略・戦術を考えるのがポイント。チームには「戦目付」と呼ばれるファシリテーター役がついてサポートするため、ファシリテーションを体感しながら学べます。
サバ研
サバ研とは、サバイバルゲーム×チームビルディング研修の略。サバイバルゲームを通して、勝つためのフレームワークとして注目を集める「OODA LOOP」を体感できる研修です。ミッションの合間に設けられた2度のブリーフィングによって、ファシリテーションを体験できます。
まとめ
効率的で有意義な会議にするには、参加者それぞれの意見を引き出し、整理し、まとめるというファシリテーションが不可欠です。ビジネスシーンにおいて、ファシリテーションのできる人材は、今後ますます重宝されていくでしょう。
とはいえ、ファシリテーション能力を一朝一夕に身につけるのは難しいものです。実践的なファシリテーションスキルを身につけたい場合は、今回紹介したゲームを取り入れてみるのもひとつの手です。ファシリテーションスキルを磨いて、会議の質を高めていきましょう。
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