地域・行政合戦リアル

updated: 2024 

チャンバラ合戦

【開催事例】「オリジナルキャンプイベント」佐賀県吉野ヶ里遺跡

【開催事例】「オリジナルキャンプイベント」佐賀県吉野ヶ里遺跡

全国各地で大小問わず体験型のイベントを年間130回以上実施していると、自治体様から「行政が管理している施設をなんとか活用できないか?」とご相談を頂きます。その土地の歴史にまつわる立派な施設であっても、うまく活用ができておらず来場者が伸び悩んでいるという悩みは全国共通です。

 そこで、今回の記事では、佐賀県吉野ヶ里歴史公園で88日・9日と811日・12日に実施された吉野ヶ里キャンプ2018を例に、歴史的施設を活用した親子で参加できて子供が原体験を味わえるイベント企画のポイントについてご紹介いたします。

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 そもそも原体験とは?

「あなたの原体験はなんですか?」と、聞かれて子供の頃の思い出が蘇る人は多いと思います。大人になった今でも、原体験は趣味・仕事選びに活かされたり、あなたを突き動かしたりする原動力になっていることもあるでしょう。つまり、原体験は人の生き方や考え方に大きな影響を与える幼少期の体験なのです。

原体験教育研究会による原体験の定義は、以下です。

「五感のうち、触覚、嗅覚、味覚を意識的に体験させることで、具体的には火、石、土、水、木、草、動物の7つの自然物を五感で直接体験することです。さらに、恐怖感、空腹感、感動などの感覚を『ゼロ体験』として、7つの自然物にゼロ体験を加えた体験を原体験と考えています」

(引用元|子供の生きる力が育つ「原体験」とは?  学び&体験場所も紹介!| 子供とお出かけ情報「いこーよ」 

科学技術が急速に進歩する便利な現代で暮らしていると、意識しないとこの「原体験」を味わうことができない子供もいるでしょう。子供たちは触覚・嗅覚・味覚を使って物事を経験することで、考えを深めたり新たな興味を育んだりしていくのです。だから、親の手で原体験を通して、子供が成長するサポートをすることが大切ではないでしょうか。

歴史的施設で原体験ができるイベントを実施する3つのポイント

今回の原体験ができるキャンプ企画は、佐賀県の都市計画課が進める吉野ヶ里歴史公園プロモーション業務の一環として行われました。歴史的施設で原体験ができるイベント実施する上で大切なポイントが3点あります。これは吉野ヶ里歴史公園に限らず、全国度の歴史的施設で実施する場合でも重要なポイントですので、イベント企画を担当される方はぜひ参考にしてみてください。 

ポイント1:歴史的施設固有の歴史・文化・景観のフル活用

日本全国に歴史的・文化的な施設は点在しています。このような施設がある地域に住む人は、小学校や中学校で地域の歴史や文化を教科書から学び、社会見学や遠足で実際に施設を訪れる機会があります。しかし、その体験は単発で終わることが多く、年齢を重ねてからは施設に関する歴史や文化に興味がある人しか訪れないという課題もあります。

今回の会場となった吉野ヶ里歴史公園は、吉野ヶ里遺跡の保存や当時の施設の復元などを通じて弥生時代の歴史が体感できる面積が104ヘクタールの自然豊かな場所です。先ほど紹介した原体験の定義内に含まれる自然物が体験できる上に、弥生時代にタイムスリップしたような気持ちになれる景観をフル活用できる会場での開催は、イベントの魅力を高めてくれます。

ポイント2:イベントのにぎわいを最大化する工夫

歴史的施設で原体験ができるイベントを企画しても、参加者が少なく話題にならなければ寂しいものです。原体験ができるイベントで重要なのは、どんな体験ができるのか?という点です。今回のイベントでは、全てのコンテンツをワークショップ形式にして常に参加者が体験・体感できるように設計しました。イベント中は参加者が受け身になるの時間はほぼなく、濃い原体験の時間を親子で過ごすことを実現しました。

また、情報拡散の点ではイベント中に写真を撮りたくなる工夫や持って帰りたくなるモノのプレゼントが有効な手段の1つです。キャンプ用品と参加者プレゼントにアウトドア好きの中で人気のSnow Peak製品を利用したり、チャンバラ合戦で使用したオリジナルの刀をプレゼントしたりという工夫によってイベントへの集客や話題作りを行いました。 

ポイント3:継続的な運用ができる仕掛け作り

せっかく企画して好評を得たイベントでも、採算が合わなかったり、準備や当日運営の難易度が高かったりすると単発の取り組みに終わってしまいます。イベント参加者がリピーターになったり、口コミで新たな参加者が見込めるイベントにしていくためにも、継続的な運用ができる仕掛け作りが必要です。

吉野ヶ里キャンプの場合は、まずSnow Peakのキャンプ道具購入しました。その理由は、ポイント2で紹介したように、Snow Peakはブランドイメージがいい上に、製品への永久保証サービスを実施しており安心して長く使用できる点が優れているからです。また、実施するコンテンツは、参加者にも実施者にもシンプルでわかりやすくする点が重要です。今回のイベントでも簡易なモノで準備ができて、特別な技能や経験がない人(県・市職員や公園スタッフ)でも運営可能な体験コンテンツを用意しました。

1泊2日吉野ヶ里キャンプ企画のコンテンツ紹介

ここからは、吉野ヶ里キャンプの企画コンテンツを紹介していきます。写真と合わせて当日の様子をご覧ください。

《DAY1》11:00|キャンプ参加者集合

イベントへの期待を胸に受付へ集まってくる参加者家族。今回の参加者は、男の子・お父さんの組み合わせが多かったです。今回のイベントでは、参加者家族を「やよい」「ひみか」「こだい」「いなほ」にチーム分け。それぞれ吉野ケ里歴史公園にゆかりのある名前です。キャンプ中のコンテンツは、このチームごとに体験をしていきます。そのため、この段階ではお互いよそよそしく微妙な距離感があるチームでしたが、体験を通してどのように表情が変化していくのかご注目ください。

受付でキャンプ参加者に手渡されたのは、アウトドアブランドSnow Peak(スノーピーク)のシェラカップ。なんと太っ腹にもプレゼントです。カップに自分の名前シールを貼り付けて、イベント中の水分補給や食事の際に役立てられた上に、イベント後も自宅やキャンプなどで今回のイベントを思い出しながら愛用することができます。

11:30|貫頭衣作成ワークショップ

吉野ヶ里キャンプ最初のコンテンツは貫頭衣作成のワークショップです。貫頭衣とは、布の中央に空いた穴から頭を出して羽織る衣類で、いまでいうポンチョのようなイメージ。弥生時代の遺跡でもある吉野ケ里歴史公園が舞台となるキャンプなので、弥生時代の庶民が着ていたとされている貫頭衣を作成していきました。

 

作り方はシンプルなので、ポイントは色つけ(デザイン)です。色とりどりの絵の具を使って、真剣な表情で貫頭衣に思い思いのデザインを描いていきました。絵の具はチームごとに共用なので、自然とコミュニケーションや笑顔も。

完成したオリジナルの貫頭衣を身につけると、気分は現代の弥生人! 各家族で写真撮影が行われたり、デザインについての会話が盛り上がったりと、和気あいあいとした雰囲気になりました。

12:30|昼食

私たちの食事に欠かせないお米。稲作が始まったのは弥生時代とされています。吉野ケ里遺跡には、稲を育てるための籾(もみ)を保管する「穀物の倉」や農耕が行われた様子が伺える資料が残されています。

 お米のありがたさを改めて知った参加者は、おにぎり片手にタープ下のテーブルに集まりチームごとに昼食。昼食を食べながらそれぞれ自己紹介やおしゃべりを楽しみました。

13:30|集落合戦-YAYOI-

昼食後のアクティビティの時間は、集落合戦(チャンバラ合戦)やプールでの水遊び、追いかけっこなどを行いました。チャンバラ合戦は2日目にも実施したので、詳細はこのあと紹介します。貫頭衣作成と昼食で打ち解けた子供たちはパワー全開!チャンバラ・水遊び・追いかけっこ・虫取りなど、思いっきり遊び回りました。

チャンバラ合戦 | IKUSA.JP

15:00|テント設営

15時からは自分たちの寝床となるテント設営。キャンプが初めてのご家族も多く、まずはスノーピークの方からレクチャーを受けました。

その後は、1家族に1つのテントを、自らの力で設営していきました。子供たちも積極的にお手伝いをしながら、家族でまとまって作業している姿は、とても微笑ましかったです。テントの丸みを帯びたフォルムは、弥生時代の住居「竪穴住居」にそっくり。弥生時代の村の様子を想像しながらテントが出来上がっていく様子を眺める大人たちは、感慨深い表情をしていました。

完成したテントの中を確認。家族で協力して立てたテントの中に入る体験は、達成感があるからか満足げな表情をする子供が多かったです。

16:30|火起こし体験&BBQ

夕食のBBQに向けて、まずは弥生時代の火起こしを体験しました。この火起こし道具を見たことがある方は多いのではないでしょうか? この道具は「舞ぎり」です。舞ぎりの先端を火切り臼に差し込み、摩擦を使って火を起こします。

やってみると難しくて、全員が火起こしに成功したわけではありませんでしたが、煙が上がるところまでは成功。

家ではガスをひねれば火がつくし、BBQでもライターや着火剤があればすぐに火起こしができます。しかし、こうして苦労して火をおこすことで、大人も子供も考えさせられる体験になりました。火がつくと自然と拍手が起こったり、安心する表情を浮かべたりする人が多かったです。

火起こし後はお待ちかねのBBQ。チームごとにわかれてお肉や野菜をほおばりました。ここまで一緒にコンテンツを体験すると、大人も子供も最初のよそよそしさや微妙な距離感はなくなり、仲良くBBQを楽しみました。

18:30|紙灯籠づくり体験

初日最後の体験コンテンツは、紙灯籠づくり。白い紙袋に入った色のついたろうそくを1人数個持ち、テントの周りに並べていきます。並べるときは、ろうそくが燃えている様子を想像してチームでコミュニケーションを取りながら並べることがポイント。みんなで協力して150個の紙灯籠を並べました。

19:30|吉野ヶ里温泉(卑弥呼の湯)へ

紙灯籠の設置を終えると、バスで近くの温泉(卑弥呼の湯)へ向かい、汗を流しました。入浴後、テントに戻ってくると、並べた紙灯籠に火が灯っているサプライズ!

色とりどりの紙灯籠がテントを照らしている様子は、ロマンティックな雰囲気で参加者から思わず歓声が上がりました。温泉でほてった体を冷ましながら、景色を眺めたり写真を取ったり就寝まで思い思いの時間を過ごしました。22時の就寝時間の合図は紙灯籠の消灯。

DAY207:00|朝食

2日目は朝食からスタート。メニューは手作り豚汁とおにぎりで、チームごとに味わいました。豚汁用の器に

初日の受付でプレゼントしたシェラカップを活用してもらいました。

08:00|テント片付け

寝床にしたテントの片付け。家族やスタッフと協力して片付けを進めました。初日に設営を経験したからか、どの家族もスムーズに片付けに成功。

 

10:00|吉野ヶ里遺跡学習

スタッフの先導で吉野ケ里歴史公園の施設をまわりながら、弥生時代の歴史を学習。甕棺墓列(かめかんぼれつ)や古代植物館、展示品などを見ながら、当時の暮らしや歴史の話から学びました。

 

甕棺墓列

現代でいう「棺桶」と「お墓」です。当時は亡くなった方を甕棺と呼ばれる素焼きの土器に入れ、そのまま埋葬していました。吉野ヶ里遺跡ではこの甕棺600mに渡りなんと6,000基がまとまって出土したのです!

 

古代植物館

ここは弥生時代の人と森の関係を学ぶことのできる施設です。事前申込をすれば「布つくり」や「楽器製作と演奏」を体験することもできますが、申込無しでも館内の展示を見て回ることができます。弥生時代の貫頭衣は身分によってずいぶんと様相が違うことなどを、資料と説明で学んでもらいました。

 

参加した大人からも「なるほど〜」という感想が出るような内容でした。

11:00|集落合戦-YAYOI

吉野ヶ里キャンプ最後のコンテンツは、我々の本領発揮! 集落合戦-YAYOI-(チャンバラ合戦)です。チャンバラ合戦とは、きき手にスポンジ製の刀を持ち、逆の腕にプラスチック製ボール(命)をつけて戦うアクティビティ。勝敗は敵チームの命をどれだけ刀で斬り落とせるかで決まります。2日間一緒に行動してきたチーム(集落)と集落合戦のみの参加者を合わせて、4つのチームで戦いました。

チーム分けは、貫頭衣の色(オレンジ・緑・黄色・ベージュ)で表され、大人と子供が混ざって戦いました。チーム対抗戦や大人対子供戦など、バラエティ豊かな合戦方法で盛り上がりました。

最後に行った一番強い人を決めるバトルロイヤル戦では、キャンプ参加者の少年が見事勝利。商品として、吉野ケ里歴史公園の年間パスポートが贈られました。

原体験を感じたキャンプ参加者の声

ここからは、吉野ヶ里キャンプ参加者に対するアンケートに寄せられた、参加者の声をご紹介いたします。

  • 想像していたよりチャンバラは大人も楽しめた。BBQは余るほど十分楽しめた。夜のプラネタリウム並みの星空は感動しました。
  • 参加費が4000 信じられないくらいの質と内容の濃さで充実した2日間でした
  • 初めてのキャンプでしたが子供たちもたのしそうでよかったです
  • 子供共々凄く楽しかったです
  • 非常に楽しくいい思い出と写真が撮れました。
  • 大人にとっても楽しめる内容でした。
  • 内容もよくスタッフさんの対応も良かったです。チャンバラで打ち解けて雰囲気も良かったです。
  • スタッフさんが子供達と親近感持って参加してたのでとても楽しんでました。
  • 戦いごっこが好きですが、なかなかさせてあげられないので、今回のびのびと遊べて大変満足でした。

  • スタッフの方がとても親切だったのと、企画内容が大変楽しかった チャンバラは、初めてで子供達の白熱した戦いをみるのがとても楽しかった 自分もドキドキしながら参加しましたが、普段できない体験で大変楽しかったです 夏の楽しい思い出をありがとうございました。次回はぜひ長崎にも来てください ハウステンボス実現を楽しみにしてます
  • 昔の遊びを、場所に合った設定で、ここまで大規模に楽しむことができてよかったです。やっぱり暑かったけど、水分や塩分など頻繁に補給の声がかかり、ありがたいなと思いました。またやりたい!

まとめ

いかがでしたでしょうか?

人の生き方や考え方に大きな影響を与える幼少期の体験である原体験は、子供が実際に経験しないと得られない上、どんな経験が子供にとって良いものなのかを判断するのは難しいです。例えば、チャンバラ合戦をしても勝ち進んでいくことに対して興味を持つ子供もいれば、仲間を応援してチームで戦うことに関心を持つ子供もいるからです。吉野ヶ里キャンプで体験した、貫頭衣作成・テント設営・火起こし&BBQ・紙灯籠づくり・吉野ヶ里遺跡学習・集落合戦-YAYOI-などのコンテンツを始め、このイベントでできた友達と一緒に水遊びをしたり追いかけっこをしたりした経験から、将来「あれが自分の原体験だった」と思い出してもらえる参加者が1人でもいれば嬉しいです。

 

全国の自然が感じられる歴史的施設などで今回のような、その土地固有の歴史・施設が活用され、かつ、親子や友達と自然物を五感で直接体験できるイベントやサービスが提供されれば、様々な経験から子供たちは学ぶことができるでしょう。その場を用意することは、私たち大人だからできること。今回のような企画をわが町の歴史的施設でも実施したい方は、ぜひIKUSA社までお問い合わせください。

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この記事を書いた人

IKUSA.jp編集部
IKUSA.jpでは、楽しさを主軸にした体験型のイベントや研修に関する情報をご紹介していきます。オンラインでもリアルでも、参加者全員が楽しめるイベントはIKUSAにお任せください。
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