updated: 2024
地方創生の成功例3選から学ぶ共通点と”成功のカギ”
目次
2014年の発表以来、高い関心が寄せられる地方創生。全国各地でさまざまな取り組みが進められ、にぎわいを見せています。しかし、なかには人口減少を食い止めることができず、事業が失敗してしまうケースも少なくないようです。地方創生でよい結果をもたらすためにも、3つの成功例からその共通点を考えてみましょう。
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地方創生成功例1:IT企業が集まる「神山町」
地方創生のモデルケースとして取り上げられることの多い徳島県神山町。山々に囲まれるのどかな田舎町で、1955年には2万1000人だった人口が、若者たちの流出により2015年には6000人まで落ち込むようになりました。
しかし、人口的に過疎化が進んでいるにもかかわらず、県内全域には光ファイバーが整備。大都会に匹敵する高速通信網が構築され、IT関連企業のサテライトオフィスが次々と開設されるようになったのです。神山町はなぜ、ビジネスの町として急成長を遂げることができたのでしょうか。
アートを軸に国際交流によるまちづくりを実現
神山町の過疎化を救ったのは、『グリーンバレー』の理事長・大南信也氏。しかし、大南氏はそもそもサテライトオフィスの誘致を計画的に進めたわけではなく、当初はアートを軸としたまちづくりを進めていたのだそうです。
大南氏は“神山町をステキに変える”をコンセプトに掲げ、『神山アーティスト・イン・レジデンス事業』を開始。国内外のアーティストを呼び、作品づくりを住民とともに行いました。その結果、神山町の名前は外国人アーティストに知られるようになり、国際交流によるまちづくり事業が促進されました。
「自然×テレワーク」新しい働き方を発信
2004年には『グリーンバレー』を設立。まちづくりを進めることによって、移住希望者が自然と増えるようになりました。そして、転機となったのが、2010年。東京のITベンチャー企業がサテライトオフィスを開設し、自然の中でテレワークを活用して働く姿がメディアで取り上げられました。
その報道により、サテライトオフィスでの働き方が新しいワークスタイルとして注目を集めるように。新会社を設立する企業が続々と増え、2016年には神山町に16社ものオフィスが集結しました。2018年現在も、12社のサテライトオフィスが活躍を続けています。
神山町は魅力的なまちづくりを推し進め続けた結果、自然と人や企業が集まるようになった地方創生の好例といえるでしょう。
地方創生成功例2:果敢なチャレンジで成功!アイデア勝負の「厚真町」
地方創生やまちづくりでもっとも重要なのは、名所や特産物などではなく、アイデアではないでしょうか。そのことを裏づけるような地方創生の成功例が、北海道の厚真(あつま)町です。
日本創生会議が「消滅可能性」を指摘した自治体の一つ、北海道の厚真町。1960年代の高度成長期以降は人口の減少が続き、現在は約4700人。観光や特産物など目玉もなく、人口増加の対策に苦しんでいたといいます。
移住者を獲得するキャッチーなアピール力
そんな厚真町が地方創生に成功したのは、まさにアイデアのおかげ。「東京圏との日帰りも可能」をコンセプトに分譲地を600区画整備・販売したところ、約500区画の販売を達成しました。
新千歳空港から35分というアクセスの良さや北海道のなかでも比較的温和な気候をアピールするなど、厚真町の魅力を効果的に伝えたことが成功の秘訣となったようです。
さらに、2014年度からは、周辺の自治体より2割近く安い「子育て支援住宅」の建設に着手。3年間で一年あたり5棟ずつ、計15棟の3LDK一戸建てを建設しました。隣接する苫小牧市の子育て世帯をねらって販売したところ、15戸に62人の入居に成功。20代から40代の現役世代を獲得しました。
「お試しサテライトオフィス」で効果的なPR
神山町が成功をつかんだサテライトオフィス事業は、厚真町でも取り組みを実施しています。企業にとってサテライトオフィスの開設は大きな投資。遠い地での事業展開に不安を覚える企業も少なくないでしょう。そんな企業の不安を払拭してくれるのが、厚真町の「お試しサテライトオフィス事業」です。
設備が完備されたオフィススペースが用意されており、1週間まで利用することができます。利用者にとっては手軽にサテライトオフィスでの働き方を実感でき、厚真町にとっては町の魅力をアピールできる効果的な取り組みといえるでしょう。
地方創生成功例3:チャンバラで地方創生!城跡巡りと遊びを融合「可児市」
数ある地方創生のなかでも、ユニークな取り組みを見せるのが、岐阜県可児市の「戦国城跡巡り事業–可児市の乱–」。斬られても痛くないスポンジ刀を使った「チャンバラ合戦」を目玉とし、遊びのなかで市内10カ所の城跡を覚えてもらう取り組みを行っています。
もともと史跡や歴史に興味のある人を誘致するだけでなく、老若男女が楽しめる「チャンバラ合戦」を通して、これまで歴史に興味がなかった人に対しても興味や愛着を喚起させます。
城跡を活用した体験型のプレイフルな地域創生
この事業は、可児市とNPO法人ゼロワンと株式会社Tears Switchとの協働実施。「チャンバラ合戦–戦 IKUSA-」は、NPO法人ゼロワンが開発したアクティビティで、「世界一平和な戦」として簡単なルールで老若男女や国籍を問わずに遊ことができます。
「チャンバラ合戦」はただの遊びでなく、チームワークを生かして戦略的に楽しむこともできるため、企業の社内研修にも導入されています。大手企業での開催実績もあり、大人から子どもまで幅広い層が夢中になれるアクティビティです。
「戦国城跡巡り事業–可児市の乱–」では、可児市の城跡を活用し、より本格的な合戦を実現。体験型の遊びやワークショップに特化し、市内1万人以上の参加を目標としています。
動画やWebサイトによるインバウンドの展開も
可児市の地域創生は、株式会社Tears Switchが手がける動画やWebサイトを活用したPRも強みのひとつです。事業内容が明瞭に分かるPR動画を配信することによって、参加社の増加を促進しています。
動画の制作・配信により地域外への発信が可能になるのはもちろんのこと、ワークショップを通して地域住民が動画作成に携わることで、地域の活動人口の増加もねらえます。さらに、日本文化の「チャンバラ」をキーワードとして発信し、市内外だけでなくインバウンドの展開も目指しています。
成功例からわかった地方創生の共通点と成功のカギ
今回ご紹介した3件の成功例を並べてみると、どの事例も発想が斬新です。観光名所や特産物をメインに打ち出した戦略でなく、アイデアを巧みに生かした事業展開が伺えます。
しかし、いずれも決して地域の特色を打ち消してはおらず、むしろ特色を時勢にあわせた形で発信しており、結果的にもともと持っている特色がより魅力的に伝わるようになっています。
共通点はキャッチー&フレキシブル
成功例3件の共通点は、テーマがとてもキャッチーなことです。「自然の中でのテレワーク」、「東京圏との日帰りも可能」、「チャンバラ合戦」などターゲット層が関心を抱きやすいテーマをわかりやすく打ち出しています。
地方創生を成功させるには、地域の特色を活用しながら、その魅力をキャッチーに伝える力が求められるといえるでしょう。
そして、ただキャッチーなだけでなく、とてもフレキシブルな点も共通しています。一本道の事業展開でなく、目的に向けてさまざまな施策を柔軟に取り入れています。失敗を恐れずに挑み続ける姿勢も、成功のカギとなるのではないでしょうか。
住民の豊かな暮らしを目指して
地方創生でもっとも大切なことは、地域で暮らす人々の豊かな暮らしです。一時的に観光客や移住者を増やしたり、利益を生み出したりするだけでは、安定的な暮らしの実現は難しいでしょう。
いつまでも暮らしたくなるような魅力的なまちづくりを目指し、時勢にあわせて柔軟に形を変えて取り組み続ける姿勢が欠かせないのではないでしょうか。
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