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updated: 2022 

ワークエンゲージメントを高めるためには?意味と具体例を紹介

ワークエンゲージメントを高めるためには?意味と具体例を紹介

業務効率を向上させるためには、社員の仕事や会社に対する満足度が高いことが重要です。そこでワークエンゲージメントを高める施策は、会社にとって大切な取り組みといえます。

しかし、日本は他国と比較してワークエンゲージメントの数値が低い傾向です。さらに、ワークエンゲージメントの意味や測定方法、高め方がわからない方も多いでしょう。ワークエンゲージメント向上のポイントは、仕事面と個人的な精神面のサポートです。

この記事では、ワークエンゲージメントの意味や高めるための取り組みについて、具体例を交えながら詳しく解説します。混同しがちなワーカホリックについてもご紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。

 

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ワークエンゲージメントとは?

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ワークエンゲージメントについて、定義や構成要素、混同されやすい言葉との違いについて解説します。

ワークエンゲージメントの定義

ワークエンゲージメントとは、オランダ・ユトレヒト大学のシャウフェリ教授によって、仕事に対するポジティブな感情や心理状態と定義されています。特定の人物や行動などに向けられる一過性の感情ではなく、仕事全体に対して抱く持続的な感情のことです。

ワークエンゲージメントの数値が高い社員は、会社へ貢献したい気持ちが強く、意欲的に業務に取り組む傾向があります。ワークエンゲージメントの度合いは、それぞれの国の文化や国民性によって影響される傾向が高いとのこと。

たとえば、日本のワークエンゲージメントは、他国と比べ低い水準であるといわれています。日本人は自分を過小評価する部分があるため、自己評価が厳しくなり、ワークエンゲージメントが低くなりがちです。

ワークエンゲージメントの3つの要素

ワークエンゲージメントが高い人は、基本的に熱意・没頭・活力の3つが満たされています。具体的な内容は以下のとおりです。

  • 熱意:仕事に対して誇りを持ち、挑戦したいという意欲が強い状態
  • 没頭:仕事に熱中しており、仕事から離れるのが難しい状態
  • 活力:仕事を通して活力を得ており、困難な状況でも粘り強く仕事に取り組んでいる状態

これら3つの要素が満たされている状態は、仕事に対しての満足度が高くポジティブな感情を持っています。仕事に集中して取り組めるため、業務スピードも速く効率的です。仕事に対してのストレスもほとんど感じず、幸福感を抱きながら仕事ができます。

そのため、この3つの要素が満たされていなかったり、どれかに偏っていたりすると、ワークエンゲージメントは低くなるでしょう。ワークエンゲージメントを高めるためには、従業員がこの3つの項目に対して、どの程度の状態にあるか確認することが大切です。

間違えやすいワーカホリックについて

仕事に対して意欲的になり没頭している状態は、仕事中毒である「ワーカホリック」と混同されますが、感情面でまったく異なります。ワークエンゲージメントとワーカホリックの大きな違いは、ポジティブな感情で仕事に取り組んでいるかどうかです。

ワーカホリックの場合は、仕事をしないことに対して罪悪感や不安感があり、仕事をせざるを得ないという切羽詰まった感情を抱いています。一方でワークエンゲージメントは、仕事が楽しくて自ら積極的に仕事をしている状態です。このように労働者がポジティブな感情で仕事をしている場合は、ワーカホリックとは異なります。

仕事に熱心に取り組んでいるように見える従業員でも、じつは強いストレスを感じながら仕事をしているワーカホリックの可能性も高いでしょう。ワークエンゲージメントを向上させるためには、まずワークエンゲージメントなのか、ワーカホリックなのかを見極めることが大切です。

対義語のバーンアウトとの違い

ワークエンゲージメントと対極の意味にバーンアウトがあります。

バーンアウトは、「燃え尽き症候群」とも呼ばれており、意欲を喪失した状態です。献身的に仕事に取り組んだものの期待した結果が得られず、不満感や疲労感などのネガティブな感情が蓄積し、働く意欲が起きなくなってしまいます。

従業員がバーンアウトしないためにも、それぞれの仕事の評価は適正にすることが重要です。評価制度があいまいな企業や改善点がある場合は、制度を見直し正しい評価を与えられるようにしましょう。

ワークエンゲージメントを把握する方法

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ワークエンゲージメントを把握するための3つの方法について解説します。

MBI-GS

MBI-GSは、Maslach Burnout Inventory-General Surveyの略称で、ワークエンゲージメントの数値自体ではなく、バーンアウトの数値を測定します。バーンアウトの値であるMBI-GSが低ければ、ワークエンゲージメントが高いと判断できるためです。

一方でMBI-GSの数値が高い場合は、ワークエンゲージメントは低くなるため、対策が必要になります。疲労感やシニシズム、職務効力感などの16の質問に対する回答からスコアを導き、測定する方法です。

OLBI

OLBIは、Oldenburg Burnout Inventoryの略称です。MBI-GS同様にバーンアウトの数値を測定し、ワークエンゲージメントを測ります。おもに疲弊と離脱に関するネガティブな質問への回答からスコアを出し、ワークエンゲージメントの数値を導く方法です。

そのため、OLBIの数値が低ければ、仕事に対してネガティブな感情が低いため、ワークエンゲージメントが高いと判断できます。

一方でOLBIの数値が高ければ、ネガティブな感情が強いと判断でき、ワークエンゲージメントは低い状態といえます。

UWES

UWESは、Utrecht Work Engagement Scalesの略称であり、ワークエンゲージメントの測定にもっとも多く使われている方法です。

17の質問を通して、「熱意」「没頭」「活力」の3要素の度合いを測り、ワークエンゲージメントの高さを測定します。

短縮版として、質問項目を9つに絞ったバージョンもあり、簡易的な測定が可能です。

ワークエンゲージメントを高めるために必要なポイント

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ワークエンゲージメントが高いと効率的に仕事が進み、会社へもいい影響を及ぼします。

そのため、会社の業績をアップさせるためにも、ワークエンゲージメントの向上は重要なポイントです。

ここでは、ワークエンゲージメントを高める方法4つについて解説します。

適材適所に人員配置していること

ワークエンゲージメントを高めるためには、従業員のやる気や能力を十分に発揮できる部署に人員配置することが重要です。

業務内容と個々の能力にミスマッチがあると、不満やストレスが溜まりやすく、ネガティブな感情を抱いてしまいます。従業員それぞれの能力や特性をしっかり理解し、適正な場所へ配置することが、ワークエンゲージメントを高めるコツです。

従業員一人ひとりとしっかり面談を行い、それぞれのスキルや特性を正しく把握するようにしましょう。

人間関係が良好であること

職場内の人間関係は、ワークエンゲージメントに大きな影響を与えます。

人間関係のトラブルが多い場合、ストレスが溜まりやすく、会社へ貢献したいという気持ちは低くなります。人間関係を良好に保つためには、社員同士が十分にコミュニケーションを取ることが重要です。

たとえば、休憩スペースを設けて、普段から社員同士がコミュニケーションを取りやすいように環境を整備するのもいいでしょう。

また、人間関係のトラブルが発生した場合の相談場所を設置するのもいい方法です。相談に応じて部署移動を可能にするのも、トラブル解決のいい方法といえます。

会社の目的を共有すること

会社の理念や目標を社員と共有することで、何を目標にすべきなのかが明確になります。そうすることで、それぞれの仕事に対する目標や目的が明確になり、意欲的な姿勢になるでしょう。

同じ目標に向かって仕事をしているという共通認識が、仕事に対するやる気を引き出します。

働きやすい環境を整えること

働きやすい環境を社内に整えることで、集中力が上がりワークエンゲージメントも高まります。必要な整備を整えることも重要ですが、リフレッシュできる環境を作ることも大切です。

たとえば、社内カフェを設置して適度にリフレッシュできるようにすると、メリハリがついて集中力もアップするでしょう。

ワークエンゲージメントを高めるための具体例

Japanese male businessmen explaining face-to-face.

ワークエンゲージメントを高めるには、仕事の資源と個人の資源の2つが重要なポイントです。

ここでは、ワークエンゲージメントを高めるための具体的な方法について解説します。

仕事面

ワークエンゲージメントを高めるための方法として、仕事のストレスを減らすことが重要です。

仕事量が多く負担になっていたり、モチベーションが下がっていたりすると、ワークエンゲージメントも低くなります。具体的には、仕事量の負担を軽減させるために上司や同僚がサポートしたり、仕事に対するフィードバックを行ったりすることが挙げられます。

仕事のスキル面で不安がある社員には、セミナーやトレーニングの機会を与えて、自信を持ってもらうのも有効な手段です。

個人面

個人的な部分からワークエンゲージメントを高めるためには、心理面のストレス軽減が大切です。

自尊心や自己効力感(「課題を乗り越えられる」という自信の源)、ポジティブな考え方は、ストレスを軽減するために必要な要素となります。スキルアップ研修で能力を伸ばし、自信をつけるのもいい方法です。

ワークエンゲージメントの向上に取り組んでいる企業の例

High-rise buildings and blue sky - Shinjuku, Tokyo, Japan

ここでは、実際にワークエンゲージメントの向上に取り組んでいる企業について、ご紹介します。

サイバーエージェント

サイバーエージェントでは、「21世紀を代表する会社を創る」という理念を「ミッションステートメント」として、社員に周知させ、ワークエンゲージメントの向上に取り組んでいます。会社としての目標を明確にして、社員と協力し合いながら実現させようとしているところがポイントです。

たとえば、役員と選抜メンバーによるコンペ形式の「あした会議」を導入しています。「あした会議」では、メンバーそれぞれが企画を提案し、コンペで優勝した企画は実際に立ち上げられます。

グーグル

Googleでは、TGIFという全社員ミーティングを毎週実施しており、会社のビジネス状況や新製品情報を共有します。重要情報や経営目標について、トップ自らが社員へ説明し、情報共有を徹底することで、社員のモチベーションを向上させることが狙いです。会社の目標を理解した上で、社員それぞれが自分の目標を設定するため、目標達成意欲や連帯感が生まれます。

また、グーグルの全従業員を対象に、サーベイ( Googleガイスト)を毎年実施し、結果を分析し対策を検討しています。サーベイで明らかになった課題は基本的に公開し、業務効率の改善を社員主導でおこなうことでワークエンゲージメントの向上が可能です。

セールスフォース・ドットコム

セールスフォース・ドットコムでは、テクノロジーやリソースを活用することで、世界中のコミュニティの価値の向上を狙っています。社員は、どのようなボランティア活動を実施するのか自分で考えて、積極的に社会貢献活動へ取り組んでいます。ボランティア活動のために、年7日間の有給ボランティア休暇制度があるのものポイントです。

またTop 100人のボランティアに選出された社員が、自分で寄付をしたい非営利団体を選び$10,000の寄付をする仕組みがあります。さらにボランティア活動に必要な費用を援助するTeam Grant制度も整備し、社員の活動を会社ぐるみで支えているのも、ワークエンゲージメントの向上に役立っているでしょう。

ワークエンゲージメントを高める際の注意点

businessman pointing by forefinger - hand gesture isolated on white background

ワークエンゲージメントを高める際には、いくつか注意すべき点があります。考え方や取り組み方を間違えると、社員の負担が大きくなってしまうため注意が必要です。

ここでは、ワークエンゲージメントを高める際の注意点3つについて解説します。

ネガティブ思考に寛容になる

ワークエンゲージメントを高める際には、ネガティブな思考を封印させてしまいがちですが、ネガティブ思考に寛容になりましょう。

マイナス要素が多く見えるネガティブ思考ですが、じつは新たな商品やサービスを生み出すきっかけになることもあります。たとえば、不満のあるサービスの課題点を分析し、解消する方法を生み出せれば、新たなサービスとして売り出すことも可能です。

このようにネガティブ思考から新たな物を生み出すという結果を得られれば、ネガティブ思考な人のモチベーションもアップします。結果的に、ワークエンゲージメントを高められるため、社員それぞれの思考を否定せず、ネガティブ思考でも寛容になることが重要です。

ワーカホリックに注意する

仕事をしなくてはいけないと追い詰められ、仕事から離れられない状態をワーカホリックと(仕事中毒)と呼びます。

ワーカホリックは、ポジティブな感情で仕事を行っているわけではなく、仕事をしないことに対する罪悪感や不安感から仕事に取り組んでいる状態です。仕事に対して意欲や熱意のあるワークエンゲージメントとは、性質が異なるため注意しましょう。

ワーカホリックか、そうでないかは、本人のコンディションや感情面から判断することが重要です。定期的に面談を行い、従業員の仕事に対する感情をチェックしながら、ワークエンゲージメントの向上に取り組むことをおすすめします。

従業員のタイプを見極める

ワークエンゲージメントの向上には、従業員の意識が重要です。そのため、従業員の性質に合ったアプローチをすることで、効率よくワークエンゲージメントを高められます。

たとえば、ある程度自由に仕事をさせることでモチベーションが上がるタイプには、裁量権のある環境を整えるといいでしょう。一方で、決められたルールの中で仕事をした方が能力を発揮する場合には、マニュアルをきちんと用意し、やるべきことを明確にします。

従業員全員がどのようなタイプなのか、理解しアプローチ方法を決めるには時間が必要ですが、最終的には効率的にワークエンゲージメントの向上が可能です。

まとめ

Beautiful young asian businesswoman

ワークエンゲージメントを高めるためには、仕事面と個人の精神面のサポートが重要です。職場の環境を整えつつ、従業員それぞれの意欲や意識にも配慮しましょう。

また、意欲的に仕事をするあまり、ワーカホリックにならないよう注意することも重要です。仕事に対してポジティブな感情を抱いて取り組んでいるのか、定期的な面談できちんと把握しましょう。

従業員の能力や特性を見極め、最適な方法をワークエンゲージメントの向上に取り組むことが大切です。

 

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この記事を書いた人

松田時子
BtoB向けの記事を中心にWeb媒体にて執筆。最近は薬機法を意識した記事の執筆やリライトがメインですが、ライフスタイルや転職関連のジャンルなど幅広く活動中。
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