posted:2021 05.04
updated: 2022 10.21
アクティブラーニングとグループワークの違いを分かりやすく解説

アクティブラーニングは、参加者が能動的に学習に取り組む学習方法を指す言葉です。一方、グループワークは数人のグループに分かれ、ディスカッションや作業を行うという意味があります。アクティブラーニングの取り組みの一つがグループワークであり、両者は同じ活動ではありません。本記事ではアクティブラーニングとグループワークの違いや、それぞれの種類などを分かりやすく解説します。
アクティブラーニングとグループワークの違いは?
アクティブラーニングとグループワークの意味を混同している人もいるかもしれません。実は両者には明確な違いがあります。企業研修の際に取り違えてしまわぬように両者の違いを把握しておきましょう。
グループワークはアクティブラーニングの一種
先述の通り、グループワークはアクティブラーニングの一種です。つまり、参加者が能動的に学習に取り組む手法の一つとして、グループワークが存在します。グループワークに限らずアクティブラーニングを企業研修に取り入れることで、参加者の主体性やコミュニケーション力を高める効果があります。
グループワークの特徴
グループワークでは複数人に分かれてチームを作り、議論や課題の制作に取り組みます。
グループワークとよく似た活動にディスカッションがありますが、ディスカッションは討論、グループワークは成果物を残すという違いがあります。
グループワークは、活動を通して他人と協力し、課題に取り組む力を身につけることが可能です。グループワークの課題を完成させるには、メンバーとの協力が不可欠。協調性はもちろん、他者と協力して何かを成し遂げる経験は「やればできる」という自己肯定感を身につけることもできます。
「三人寄れば文殊の知恵」ということわざもあるように、一人ではできないことでも複数人で協力すれば課題を乗り越えられます。また他人と接することで、対人スキルも身に付くでしょう。自分の意見を伝えたり、チームで出た意見をまとめて言語化したりする経験は、座学の研修では得られません。グループワークを通じて、組織で仕事をこなすために求められるスキルを効率よく伸ばすことが可能です。
グループワークの種類
グループワークには主に「プレゼン型」「作業型」「ゲーム型」という3つの型が存在します。それぞれ必要な能力は異なるので、自社で伸ばしたいスキルに合わせて適したスタイルを選ぶと効果的な研修が実現できます。それぞれのスタイルの特徴を把握しましょう。
プレゼン型
与えられたテーマについてグループで話合い、最終的に出た結論を発表するタイプがプレゼン型です。プレゼン型は、チームで議論して到達した結論を、他の参加者たちに分かりやすく伝える力が求められます。
分かりやすく物事を伝えるには、議論の内容をよく理解し、ポイントを押さえて要点だけ伝えることが重要です。人前で話すのが苦手な方でも、経験することで次第に慣れていきます。
研修で強制的に発表する機会を設けることで、伝える力を伸ばせます。スピーチ力や表現力を伸ばしたいと考えている企業におすすめのスタイルです。
作業型
作業型のグループワークは与えられた課題の達成を目指し、チームで協力して作業を行うグループワークです。作業型のグループワークの例としては「時間内にできるだけ高いペーパータワーを構築する」「ホームページの更新版を作る」などがあります。
作業型グループワークではチームワークが重要です。課題を達成するには、全体の中で与えられた作業を各メンバーがきちんとこなすことで、制作物が完成します。足並み揃えて作業を行い、協調性や他人への気遣いなど組織で働く上で重要なスキルが身に付くでしょう。
ゲーム型
ゲーム型のグループワークではその名の通り、ゲームの要素が含まれています。
代表的なゲーム種目のコンセンサスゲームを例に、説明していきましょう。コンセンサスゲームは、チームメンバーとコンセンサス(合意形成)を図りながら、課題を解決に導きます。
コンセンサスゲームの定番としては「NASAゲーム」が挙げられます。宇宙船が故障し、惑星に不時着したというシチュエーションのもと進めていくコンセンサスゲームです。手元にある15個のアイテムをどの順番で使うべきか、合意形成で決めていきます。
NASAゲームの場合は、あらかじめ用意された模範解答に近いチームが高得点を獲得します。
ゲーム型のグループワークはゲーム感覚でできるので、他のタイプと比べ取り組みやすいのがメリットです。
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グループワーク以外のアクティブラーニングの種類
アクティブラーニングはグループワーク以外にも様々な種類があります。グループワークのスタイルにこだわりがなければ、他のアクティブラーニングの手法も考慮に入れると良いでしょう。グループワーク以外のアクティブラーニングを5種類紹介します。
ラウンドロビン
ラウンドロビンは、ある課題に対して次々とアイディアや意見を出しあっていく学習方法です。特徴は途中で質問や議論をせずに、あらかじめ決めた順番に従って次々と意見を出しあっていく点です。チーム全員が順番に意見をいっていくので、消極的な方でもみなと同じだけ発言の機会が得られるところがメリットです。
フィールドリサーチ
フィールドリサーチとは現場に出向き、情報収集や分析を行い、問題解決を図る学習方法を指します。フィールドリサーチを行うことで書面上では分からない現場の情報を入手できます。
例えば、商品がより売れるよう施策考案のために飲食店へ出向き、顧客の行動などを分析するのです。一緒に購入する商品には何があるか、購入する人の年齢や性別に傾向はあるかなどをチェックすれば、どんな施策を講じるべきか具体案が見えてくるでしょう。
LTD
LTDとは話し合いによる学習方法の枠組みを指します。端的にいうと、課題文を深く読み解く学習方法のこと。大きく分けると個人学習→グループによる話合いという2つのステップを踏みます。
個人学習では読解した内容を自身の知恵などと結び付け、思考能力や自己学習能力などを身につけることが可能です。その後はグループディスカッションに移行し、個人で出た意見を発表していきます。自分の深い考察と他人の深い考察をすり合わせれば、他人と学ぶ楽しさを感じられるでしょう。
ジグソー法
ジグソー法とは、各メンバーが持ち寄った知識を教えあい、相互に学習し課題解決を目指す学習方法です。エキスパートグループで専門的な知識を身につけた後に、元のグループに戻り各メンバーがエキスパート活動で得た知識を、他のメンバーに伝えあいます。
専門的な知識を分かりやすく伝える力を伸ばすことができます。
ケースメソッド
ケースメソッドは具体的なケースをもとに、議論を進めていき課題解決をはかる学習手法です。実際に起きた事例が問題になるので、実践的なスキルが身に付きます。アメリカではビジネススクールでもケースメソッドが多く取り扱われており、経営スキルを伸ばす際に有効です。日本でも、将来のリーダー候補育成のために研修で取り入れる企業が増えています。
オンライン企業研修でグループワークを成功させるコツ
新型コロナウイルスの影響で、企業研修はオンライン研修が主流になってきました。Zoom等のオンライン会議ツールを使えば、オンライン上でグループワークを実現可能。多くの企業がオンライン研修を導入し始めています。
しかし、オンライン研修は対面での研修では起こらない不都合が生じる危険もあります。トラブルを未然に防ぎ、オンライン企業研修を実現させるためのポイントを押さえましょう。
音声トラブルが生じないための対策を行う
オンライン研修では自分の声が相手に届かなかったり、相手の話す声が聞こえなかったりするトラブルが生じる危険があります。特定の人物だけ音声が届かないのであれば、その参加者のデバイスに問題がある可能性が高いです。
有効なのは、あらかじめマイク付きのイヤホンやヘッドフォンをつけるよう指示しておくことです。パソコンのスピーカーやマイクをそのまま使うと、音声がうまく聞き取れない場合もあるので、事前に利用できるデバイスを限定しておくと良いでしょう。
できる限りルールを詳細に定めておく
オンライン研修はトラブルが発生しやすいので、事前に詳細なルールを定めておくと想定外の事象が起こりにくいです。例えば「発言の際は挙手し、講師から許可を得た場合のみ話す」「司会やタイムキーパーなどの役割を設ける」「発言の順番をあらかじめ決めておく」などが考えられます。
講師にはサポート役をつける
オンライン研修を講師一人だけで対応するのは非常に難しいです。システム的な障害が発生する可能性があり、チャットの操作をする手間などを考えると、少なくとも2名体制で運営しないと厳しいでしょう。講師は説明に集中できるように、その他の作業はサポート役が対応できる体制を整えましょう。
グループディスカッションの時間を長めに取る
オンライン研修ではグループディスカッションの時間を対面の研修と比べ、長めに取ることが大切です。オンラインだとどうしても声がかぶりやすく、回線が途切れて声が聞き取れないなどのトラブルが発生しやすいものです。結果的に、やりとりが増えやすくなり、タイムロス発生する可能性があります。
具体的にはグループディスカッションの時間をオフラインの研修の1.5倍は取った方が良いといわれています。
コミュニケーションがとりやすい「ゲーム」を導入する
オンライン研修は、参加者同士の表情が読みづらく、発言がなかなかしづらいもの。特に初対面同士の新人研修や内定者研修などでは、なかなか会話が弾まないケースも多いです。
そこでおすすめなのが、コミュニケーションを活性化するゲームの導入です。
例えばオンラインでできる謎解き「リモ謎」は、参加者同士のコミュニケーションを促進できるチームビルディング研修として、450社以上に導入されています。
参加者は物語の世界観に浸りながら、チームメンバーと協力して謎解きを行います。謎を解くにはチーム内での役割分担や情報共有が必要不可欠なため、ゲームを楽しむ過程で自然とコミュニケーションが発生します。また、各チームに巡回スタッフがつくので、困ったときのヘルプ対応や、場を盛り上げる演出を行うことができます。リモ謎の資料ダウンロードはこちら
まとめ
グループワークはアクティブラーニングの一種です。アクティブラーニングにはグループワーク以外にも、ラウンドロビンやフィールドリサーチ、LTD、ジグソー法、ケーススタディなどの手法があります。
グループワークも作業型、プレゼン型、ゲーム型など種類に分かれており、伸ばしたいスキルに合わせて実施する活動を選ぶことが大切です。本ページを参考にしながら、音声トラブルにも十分配慮しながらオンライン研修を取り入れてみてください。