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2021 04.06

アクティブラーニングとは?企業研修への導入手法やメリット・デメリット

IKUSA.jp編集部
アクティブラーニングとは?企業研修への導入手法やメリット・デメリット

参加者が能動的に学習に取り組む方法をアクティブラーニングと呼びます。アクティブラーニングは元々教育現場で導入された概念ですが、近年はビジネスシーンでも活用が進められています。

具体的には研修の際にアクティブラーニングを導入し、主体性やコミュニケーション力など仕事で求められるスキルを伸ばそうとする会社が多いです。本記事では、アクティブラーニングの企業研修への導入方法などを紹介します。

企業研修で用いるメリット・デメリットも解説するため、アクティブラーニングが自社に適した手法か分かるようになるでしょう。ぜひご一読ください。

アクティブラーニングとは?

アクティブラーニングは参加者が自主的・主体的に取り組む学習方法を指します。日本においてアクティブラーニングは、大学教育改革に向けて文部科学省が使い始めた言葉です。文部科学省は大学教育において「学生は主体的に問題を発見し解決を導くような学習の仕方への転換が必要」と述べています。

簡単にいうと、大学の授業は講義を受けるだけでなく、ディスカッションやグループワークなども取り入れて、協力し意見の交換をはかりながら行う必要があるという意味です。

単に共同して取り組むだけでなく、課題を見つけ、その課題の解決のためにはどうすべきか答えを見つけ出すことまで含まれます。アクティブラーニングを通じて、いいたいことを適切な表現で伝えるコミュニケーション力や論理的に議論を行う思考能力などが鍛えられます。

アクティブラーニングを導入する企業が増えている

アクティブラーニングを企業研修に導入する企業は増えています。この理由は社会構造の変化による側面が大きいと考えられています。

近年、生産性や主体性、問題解決能力といった能力が仕事で強く求められるようになりました。少子高齢化により労働力人口が減少し、労働者一人一人の生産性向上が重要視されています。「指示待ち人間」だと業務が滞ってしまうため、自ら考え周りの人の力を借りながら主体的に動ける能力が必要です。こうした状況を背景に、アクティブラーニングを通じて主体性などのスキルを伸ばそうと考える企業が増えています。

企業研修でアクティブラーニングを導入するメリット

企業研修でアクティブラーニングを導入することで、様々なメリットが得られます。代表的なメリットを4つ紹介します。

主体性・問題解決能力が向上する

アクティブラーニング研修を実施することで、自分で考える主体性や与えられた課題に対し解答を導く問題解決能力の向上が期待できます。研修では講師はあくまでもサポート役で、参加者自身が自分の頭で課題に対する解答を考え出す必要があります。

ビジネスシーンでは課題に直面した時に、答えが一つとは限りません。自分なりに答えを出し、それを実践する経験を通じて、ビジネス現場に役立つ主体性や問題解決能力が高まります。

コミュニケーション力がアップする

アクティブラーニング研修はメンバーと話し合う機会が多く、必然的にコミュニケーション能力がアップします。自分の意見を伝える伝達能力、他のメンバーの話を聞く力、議論で出た意見をまとめる力、議論を展開させる質問力など様々な対人スキルが身に付きます。

参加者同士が密にコミュニケーションを取ることで、一人では到底答えが見つからない課題も解決に導くことが可能です。コミュニケーション力向上とともに、組織で働くうえで議論を交わす大切さも実感できるでしょう。

研修の効果が高まる

座学の研修に比べてアクティブラーニング研修は、研修の効果が高まります。自分の考えを述べる、他者と議論を交わすといった能動的な学習スタイルはより知識が定着すると考えられています。エピソード記憶として頭に残りやすく、学んだ知識がより脳に刻みこまれる可能性が高いです。

研修の効果が高いとは、すなわち人材の早期戦力化を実現しやすいことを意味します。通常業務に戻った時に研修の内容を活かせるので、早々とスキルアップができるでしょう。

リーダーシップを取れる人材を育成できる

アクティブラーニング研修では、参加者一人一人が主体的に周囲を巻き込みながら学習を進めていきます。このため、リーダーのポジションを設けなくても、全てのメンバーのリーダーシップ力を高められます。

独立行政法人労働政策研究・研修機構が企業に対し行った意識調査によると、「リーダーシップを持ち、担当部署等を引っ張っていける人材」を求めると答えた割合は(68.2%)にも及びました。アクティブラーニングなら、従業員のリーダーシップを効果的に伸ばすことができます。

入職初期のキャリア形成と世代間コミュニケーションに関する調査

 

企業研修でアクティブラーニングを導入するデメリット

企業研修でアクティブラーニングを導入する際は、メリットだけでなくデメリットも存在します。アクティブラーニング研修のデメリットは、以下の3つです。

実施に時間がかかる

アクティブラーニング研修は通常の研修と比べ、実施に時間を必要とします。講義形式の研修では講師の話をインプットして終了となる場合がほとんどです。しかし、アクティブラーニングは課題の解決をはかるために必要な知識を受講者自身で議論して導き出すので、時間がかかってしまいます。

効果の測定が難しい

アクティブラーニング研修は、学んだ効果をどのように測定するか難しいという点もあります。アクティブラーニングで身に付くコミュニケーション力や主体性などの力は、数値による測定が難しいです。

講義中の参加者の様子をチェックしても、単純に発言回数が多ければ良い評価を与えて良いわけでもありません。発言回数が少なくても、課題の内容をよく理解し、的を得た発言をしている参加者もいるでしょう。

アクティブラーニングは効果の測定が難しく、実際に能力が身に付いたか確認するためには、通常業務の活動状況を長期にわたり見ていきながら効果を判断する必要があります。

受講者の意欲が低いと効果が表れづらい

アクティブラーニングは受講者が自発的に学ぶことで、はじめて満足いく効果を発揮します。しかし、全ての参加者が能動的に研修に取り組むかというと、そうはいきません。実際には意欲が低い参加者もいるでしょう。参加者のやる気は外部から伸ばすことは難しい部分です。

代表的なアクティブラーニングの手法

アクティブラーニングは効果的な研修手法であることがお分かりいただけたでしょうか。しかし実際にアクティブラーニングをどのように研修に取り入れるか疑問を抱く方も多いでしょう。

ここでは代表的なアクティブラーニングの手法を紹介します。それぞれの方法の特徴ややり方などを解説するので、ぜひご覧ください。

ジグソー法

ジグソー法とは、各メンバーがそれぞれ保有する知識を教えあい学習することで、課題を解決に導く手法を指します。複数人でジグソーパズルを完成させていく過程に似ていることから、ジグソー法と名づけられました。

ジグソー法の手順は、まず参加者をいくつかのグループ(ホームグループ)に分けることからはじまります。分類ができたら、各メンバーに対し、担当する学習内容を割り当てます。その後、学習内容ごとにグループ分け(エキスパートグループ)を行い、他のメンバーとともに知識を吸収します。

学習が済んだら元のホームグループに戻り、それぞれがエキスパートグループで学んだ知識を伝えあい、課題の解決をはかるという流れです。参加者は自分しか知らない知識を、メンバーに分かりやすく伝える必要があるので、表現力やコミュニケーション力などが磨かれます。

ジグソー法を学べるゲームとしては「野球のポジション当てゲーム」や「桃太郎村の地図」などが有名です。

ケースメソッド

ケースメソッドとは、実際の事例をもとに課題を見つけ、解決策を探っていく方法です。1920年代にハーバード大学で開発された手法で、実践力が身に付くとして各ビジネススクールで多く導入されています。日本でも次世代のリーダー育成に役立つとして、研修に取り入れる企業が増えています。

ケースメソッドは、一般的に以下の手順で進められます。

  1. ケースを理解する
  2. 自分の見解をまとめる
  3. 小グループで討議する
  4. 持論を修正する
  5. 大グループで背景や課題を分析する
  6. ケースの解決策を検証する

小グループではリーダーを決め、リーダーの進行のもと、各々自分の意見を発表していきます。次に他のメンバーから聞いた意見を参考に、持論を修正します。全体での討論に移り、修正した見解を発表していきます。

個人学習からはじまり、小グループでの討議、大グループでの討議と段階を踏むことで、思考力が養われ最善策を導き出すことが可能です。自分の意見を分かりやすく伝える力のほか、課題を多面的に捉えるスキルも身に付きます。ビジネスシーンでの実践力が身に付く学習方法です。

フィールドリサーチ

フィールドリサーチは現場に赴き、実際の体験を通して課題の解決策を探っていく学習手法です。たとえば自社の商品の販売促進のためにはどうすべきかという課題の解決を目的に、実際に店舗に出向き、顧客の行動を観察するなどの活動が行われます。

フィールドリサーチを通じて情報収集力や、得た情報をレポートやプレゼンテーションなどで分かりやすく伝える力が身に付きます。得た知見をどのように活かすか、論理的思考能力や行動力も身に付けることが可能です。

実施の流れとしては、まずグループディスカッションを行い、課題に対して解決策の仮説を立てます。その後、現場に出向き、対象を観察・調査し、分析していきます。最後にフィールドリサーチの結果、前提にした仮説は正しいのか議論を交わすという流れです。

定量情報だけでは難しい市場の動向を把握できるので、研修だけでなく実際の市場調査でフィールドリサーチを実施する企業もあります。

LTD

LTDはLearning Through Discussionの略語で、話し合い学習法とも言われています。事前の個人学習でまとめた内容をもとに、グループ学習でテーマに関する知識や評価を高めていきます。

まず与えられた課題文を読み、筆者の主張を把握し、自分の言葉でまとめます。次に筆者の主張を補強するエビデンスをリサーチしたり、自身の経験やニュースなどから得た情報をもとにしながら、課題文に関する自分の意見をまとめます。

さらに、課題文の優れた点や悪い点をまとめたら、発表の準備を行いましょう。グループ活動に移り、筆者の主張や自身の見解など項目ごとに個人の意見を共有し議論を進めていきます。LTDではかなりの量の話し合いを実施するので、対人スキルは大きく向上する可能性が高いです。

ラウンドロビン

ラウンドロビンは複数人でグループを作り、順番に意見やアイディアを発信していくアクティビティです。意見が出ても質問や議論は行わず、どんどんアイディアを出しあっていくのがポイントです。

グループ全員が意見を表明するので、消極的な人でも議論に参加できる点がメリットです。実施の流れとしては講師から課題を聞き、時間制限や何周回すのかといったルールを決め、それぞれ意見を出しあうだけです。

アクティブラーニングの効果を高めるポイント

最後にアクティブラーニングの効果を高めるポイントを解説します。アクティブラーニング自体は効果が高い研修手法ですが、ポイントを押さえることでさらなる効果をもたらします。

アクティブラーニングの効果を高めるポイントとして研修を運営する側が注意すべき点は、以下の4つです。

発言しやすい雰囲気づくりを行う

アクティブラーニングはどの手法を取るにせよ、参加者の活発な議論が不可欠です。このため、発言しやすい雰囲気づくりが大切になります。

たとえばいきなり課題に取り組ませるのではなく、まず簡単な自己紹介を挟むことで緊張を緩和する効果が見込めます。

また参加者が物おじせず様々な意見を表明するためには、多様な意見を受け入れる環境が必要です。明らかに的外れな意見が出たとしても、頭ごなしに否定することがあってはいけません。様々な意見を受け入れる環境があれば、参加者はみな自発的に発言できるでしょう。

ディスカッションの際に注意点として「絶対に他者の意見を否定してはいけない」と述べておくと、参加者が安心感を抱き積極的に発言できるようになるはずです。

研修の目的やゴールをはっきりさせる

実際に導入する際にありがちなのが、研修の目的やゴールが明らかになっていないシチュエーションです。アクティブラーニングでは参加者側の主体性や自発性が求められるのは確かですが、何を能動的に学ぶかという点が明らかでないと研修は思うような効果を発揮しません。

研修を通じて、リーダーシップを取れる人材を育てたいのか、問題解決能力を伸ばしたいのか等、研修の目的は企業によって異なるはずです。アクティブラーニングはあくまで手段の一つです。アクティブラーニング研修自体を目的化せずに、本来の人材開発という目的から逸れないように注意してください。

優秀な講師をアサインする

アクティブラーニング研修では、講師に高いスキルが求められます。できる限り優秀な講師をアサインできるよう、人選には注意を払いましょう。アクティブラーニング研修の講師が備えるべきスキルには、ファシリテーションスキルやコーチングスキルなどが挙げられます。

ファシリテーションスキルとは議論において、対立した意見が出た時や反発が起きそうな時にうまく場をまとめ、トラブルに陥らないようかじ取りを行うスキルを指します。また、コーチングスキルとは、対話によって相手の自己実現や目標達成を支援する能力です。

その他、研修の内容によっては専門的な知識を要する場合もあるでしょう。講師の選任方法として外部に業務発注する方法と、社内の優秀な人物を選ぶパターンが考えられます。社内から講師を募る際は事前にトレーニングを行う必要があるでしょう。

業務に活かせる仕組み作りも忘れずに行う

研修で学んだことを業務に活かせる仕組みの構築にも努めてください。せっかく研修で色々と学んでも、実務で活かせる場がなければ意味がありません。また、知識は反復することで身についていくので、実践の機会がなければ学んだ内容を忘却してしまいます。

たとえば研修の最後に、研修で学んだことを実践でどう活かしていくか振り返りシートなどに記入させれば、参加者は通常業務で意識して取り組むことができます。

まとめ

アクティブラーニングの企業研修への導入方法やメリット・デメリットなどを紹介しました。アクティブラーニングを研修に導入すれば、主体性やコミュニケーション力向上、リーダーシップを取れる人材の育成など様々な効果を期待できます。

効果が測定しにくいことなどデメリットもありますが、メリットと比較すると微々たるものといえるでしょう。

ぜひアクティブラーニングを企業研修に用いて、これからの会社を担っていく「主体的に学び自ら行動に移せる人材」の育成に努めましょう。

この記事を書いた人

IKUSA.jp編集部
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